みすず書房

「ぼくは、うまくいかなくても撮るし、うまくいっても撮る。一度シャッターを切り始めたら、トコトンまで撮らずにはいられなくなる。」

土門拳、65歳の時の初エッセイ集。「デモ取材と古寺巡礼」「スランプを恐れないこと」「梅原龍三郎を怒らせた話」「アマチュアはなぜ写真が下手か」「手でつかめる風景」… 自らの生い立ちから始まり、丁々発止の肖像写真撮影、一筋のしわをも逃さずとらえて不評だった話、ままならぬ右足の悔しさ、アマチュア写真家への激励、写真哲学などが生き生きと、克明に語られていく。
戦後日本の矛盾と、日本人を凝視した眼光の鋭さが、文章に刻みつけられている。その強靭な写真の謎を、土門拳自らが明かす。

[初版2012年12月10日発行]

目次

まえがき

ぼくの名前
略歴
不愉快な写真の話
デモ取材と古寺巡礼
現状
寝顔
棺の上に飾る写真
事実ということ
自写像
自叙伝
死ぬことと生きること
明成園
スランプを恐れないこと
写真は沢山撮らなければならぬ
写真家志望の青年へ——弟子になりたいという手紙に答えて
肖像写真のこと雑話
梅原龍三郎を怒らせた話
女の写真
おでこのしわ
ルイ・ジュヴェの眼玉
久保田万太郎の鼻
マダム・マサコの頬骨
近藤勇の写真
リアリズムということ
肖像写真について
連作と組写真
画題のつけ方——画題は発想と直結する
リアリズムは自然主義ではない
人間の目、カメラの目
アマチュアはなぜ写真が下手か
風景写真
手でつかめる風景
赤いタンツボの話——私の作画精神

あとがき

[解説] 最初から最後までプロだった人  星野博美