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なぜならそれは言葉にできるから

証言することと正義について

WEIL ES SAGBAR IST

Uber Zeugenschaft und Gerechtigkeit




暴力をうけた人は、それを話すことができるだろうか。周囲の人はそれを聞くことができるだろうか。
暴力は、日常の「こうであるはずだ」という約束を壊す。世界で生きていく前提が崩れてしまうのだ。だから、何が起こったのかを認識するのにとても時間がかかる。その話を聞いた人も、言われたことを即座に理解することはできない。
けれども、暴力は世界中で蔓延し、ある日突然被害者になる人は増え続けている。世界への信頼を打ち砕かれた人が、ふたたび世界へと戻って来られるために、私たちは何ができるだろうか。
著者エムケは戦地を取材し、さまざまな人と出会う。そこから、「語ること」「聞くこと」「聞いたことを伝えること」について考えていく。
語ることを強いるのではなく、言葉にできないとするのでもなく、「それでもなお語る」ことを探ること。口ごもりながら、断片的に語るとき、そこには空白があり、謎があるかもしれない。だからこそ「それ」は言葉にできる。
語りの首尾一貫性ではなく、聞く人が「それ」を聞けるかが、世界への信頼を取り戻す鍵となる。
出会った人々の言葉とともに、旅するエムケの生活や思い出が、普遍的な考察へとつながっていく。温かく、深みのあるエッセイ。


目次


「なぜならそれは言葉にできるから」――証言することと正義について
序章/1 さまざまな証人、または――我々に語るのは誰か?/2 精神的打撃、または――「理解しようと試みない」/3 「物体」への変身/4 二重化、または――リズム、儀式、物、脱出/5 去る、または――沈黙の時/6 信頼、または――それでも語る
他者の苦しみ
拷問の解剖学的構造
リベラルな人種差別
現代のイスラム敵視における二重の憎しみ
故郷――空想上の祖国
民主主義という挑戦
旅をすること 1
旅をすること 2――ハイチを語る
旅をすること 3――旅のもうひとつの形について

初出
訳者あとがき


著訳者略歴

カロリン・エムケ
Carolin Emcke

ジャーナリスト。1967年生まれ。ロンドン、フランクフルト、ハーヴァードの各大学にて哲学、政治、歴史を専攻。哲学博士。『シュピーゲル』『ツァイト』の記者として、世界各地の紛争地を取材。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
浅井晶子
あさい・しょうこ

翻訳家。1973年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位認定退学。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

武田砂鉄(ライター)
<朝日新聞 2019年12月22日>
岡真理(京都大学大学院教授)
<信濃毎日新聞 2019年12月22日>
小池昌代(詩人・小説家)
<週刊朝日 2020年1月31日>

関連リンク

この本の関連書


「なぜならそれは言葉にできるから」の画像:

なぜならそれは言葉にできるから

「なぜならそれは言葉にできるから」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/248頁
定価 3,960円(本体3,600円)
ISBN 978-4-622-08853-0 C0036
2019年10月16日発行

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