みすず書房

なぜならそれは言葉にできるから 電子書籍あり

証言することと正義について

WEIL ES SAGBAR IST

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 248頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-08853-0
Cコード C0036
発行日 2019年10月16日
電子書籍配信開始日 2019年11月 1日
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なぜならそれは言葉にできるから

暴力をうけた人は、それを話すことができるだろうか。周囲の人はそれを聞くことができるだろうか。
暴力は、日常の「こうであるはずだ」という約束を壊す。世界で生きていく前提が崩れてしまうのだ。だから、何が起こったのかを認識するのにとても時間がかかる。その話を聞いた人も、言われたことを即座に理解することはできない。
けれども、暴力は世界中で蔓延し、ある日突然被害者になる人は増え続けている。世界への信頼を打ち砕かれた人が、ふたたび世界へと戻って来られるために、私たちは何ができるだろうか。
著者エムケは戦地を取材し、さまざまな人と出会う。そこから、「語ること」「聞くこと」「聞いたことを伝えること」について考えていく。
語ることを強いるのではなく、言葉にできないとするのでもなく、「それでもなお語る」ことを探ること。口ごもりながら、断片的に語るとき、そこには空白があり、謎があるかもしれない。だからこそ「それ」は言葉にできる。
語りの首尾一貫性ではなく、聞く人が「それ」を聞けるかが、世界への信頼を取り戻す鍵となる。
出会った人々の言葉とともに、旅するエムケの生活や思い出が、普遍的な考察へとつながっていく。温かく、深みのあるエッセイ。

目次

「なぜならそれは言葉にできるから」——証言することと正義について
序章/1 さまざまな証人、または——我々に語るのは誰か?/2 精神的打撃、または——「理解しようと試みない」/3 「物体」への変身/4 二重化、または——リズム、儀式、物、脱出/5 去る、または——沈黙の時/6 信頼、または——それでも語る
他者の苦しみ
拷問の解剖学的構造
リベラルな人種差別
現代のイスラム敵視における二重の憎しみ
故郷——空想上の祖国
民主主義という挑戦
旅をすること 1
旅をすること 2——ハイチを語る
旅をすること 3——旅のもうひとつの形について

初出
訳者あとがき

書評情報

武田砂鉄(ライター)
朝日新聞2019年12月22日
岡真理(京都大学大学院教授)
信濃毎日新聞2019年12月22日
小池昌代(詩人・小説家)
週刊朝日2020年1月31日