みすず書房

学問としての翻訳

『季刊翻訳』『翻訳の世界』とその時代

判型 四六判
頁数 224頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-08899-8
Cコード C1080
発行日 2020年4月30日
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学問としての翻訳

忘れられた専門誌『季刊翻訳』の驚くべき革新性、次いで『翻訳の世界』がポストモダンの思想界に放ったインターカルチュラルな輝き。それは今日トランスレーション・スタディーズと呼ばれる新しい学問が、欧州とりわけ英国で誕生し展開したのと同時期のこと。共振するかのように日本で芽吹いた翻訳への学問的関心は、しかしどうしていまだ開花せず、翻訳学2000年誕生
説の陰に隠れたのか。二誌の翻訳言説を追い、さらに『翻訳の世界』にかかわった翻訳家と編集者9人(辻由美、鴻巣友季子、伊藤比呂美、西成彦、井上健、管啓次郎、沼野充義、丸山哲郎、今野哲男)にインタビュー。埋ずもれた知的地層を掘りあて、学際的学問の風通しのよい未来を展望する。

目次

はじめに

第一章 英国におけるトランスレーション・スタディーズの誕生
背景
展開
言語
まとめ

第二章 『季刊翻訳』『翻訳の世界』の時代と翻訳言説
1 『季刊翻訳』1973-75
研究誌の誕生
  等価/文化翻訳と誤訳/原典と翻訳への態度/誤訳の指摘/読者論/「研究室めぐり」/『季刊翻訳』の中の翻訳論
まとめ

2 『月刊 翻訳の世界』『翻訳の世界』1976-
『翻訳の世界』創刊
  文化翻訳
翻訳論とその定義
誤訳の指摘と「欠陥翻訳時評」
翻訳専門学校と『季刊翻訳』、通信教育と『翻訳の世界』
まとめ

3 『翻訳の世界』の1980年代
新星『翻訳の世界』
  翻訳者の解釈/翻訳権の問題/翻訳の多様性/翻訳を論じるための基準/言語と社会/文化翻訳/メディア翻訳、ジャーナリズム翻訳/漫画とコミック/アジアと翻訳
翻訳理論と翻訳批評
マイノリティ
人物
  ダニエル・ジル/カズオ・イシグロ/村上春樹/伊藤比呂美/沼野充義「言語街道交差点」
まとめ

4 『翻訳の世界』の1990年代
イデオロギーと翻訳
翻訳論
女性のための『翻訳の世界』へ
まとめ

第三章 『翻訳の世界』にかかわった人々の言葉から——インタビュー
辻由美
鴻巣友季子
伊藤比呂美
西成彦
井上健
管啓次郎
沼野充義
丸山哲郎
今野哲男
まとめ

第四章 「トランスレーション・スタディーズ」の誕生?

第五章 現代日本における学問としての翻訳の混迷

おわりに——未来図


後記
参考文献
索引

書評情報

秋草俊一郎(日本大学准教授(比較文学))
図書新聞2020年7月4日(土)
和田忠彦(東京外国語大学名誉教授)
日本経済新聞2020年7月4日(土)
柳原孝敦(東京大学大学院教授(スペイン語文学))
週刊読書人2020年7月17日(金)
読書人WEB (dokushojin.com)
(天羽)
東京新聞夕刊コラム「大波小波」2020年8月5日(水)