みすず書房

科学的心理学が研究されはじめた1870年から、アメリカに自我心理学が定着する1950年まで、このおよそ100年で「心」に何が起こったのか。この間に精神分析が誕生し、発展し、分裂し、拡散した。無意識とセクシュアリティの探究、フロイト学派の形成、分析協会の設立と国際会議の招集、論争、離反、そして新たな精神分析へと、各々の経緯が見事につなぎ合わされ、初めて首尾一貫した精神分析の歴史=物語がここに登場した。19世紀から20世紀の「心」をめぐる科学革命を、最終的に指揮したのがフロイトである。主要言語のほとんどに翻訳され、現代人の心の歴史をめぐって世界的な水準で認められた決定的な大作。

目次

日本語版への序文
序章

第I部 フロイト理論の誕生
第一章 心の科学
第二章 鏡の都市、夢の都市
第三章 心とエロスの不幸な結婚

第II部 フロイト学派はこうして作られた
第四章 ウィーン
第五章 チューリッヒ
第六章 フロイト派のインターナショナル
第七章 統合/分裂

第III部 精神分析はこうして作られた
第八章 すべてが滅亡する危機
第九章 新たな中心を求めて
第十章 新たなる精神分析
第十一章 自由の精神=政治学

エピローグ
謝辞
訳者あとがき
原注/引用文献の略記について
索引/図版出典