みすず書房

第三の支柱 電子書籍あり

コミュニティ再生の経済学

THE THIRD PILLAR

How Markets and the State Leave the Community Behind

判型 四六判
頁数 560頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-08994-0
Cコード C0033
発行日 2021年7月16日
電子書籍配信開始日 2021年7月16日
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第三の支柱

いま最も重要な経済学者のひとりが、コミュニティの再興こそがリベラルな市場民主主義を救いうることを示したベストセラー。

『フィナンシャル・タイムズ』紙ベストブック

「コミュニティのきわめて重要な役割を軽視し、市場と国家の表面的な効率性ばかりに集中してきたことによる弊害を分析した、すばらしい洞察だ。ラジャンは大胆かつ明晰に、なぜこの不均衡をすぐに修正する必要があるのかを明らかにしている」
アマルティア・セン(1998年ノーベル経済学賞受賞者)

「私の両親は大恐慌、ファシズムの台頭、第二次世界大戦を生きた。私はそれとは根本的に異なる仕方で組織された世界で生きていると考えてきた。しかし私は間違っていた。私たちはみな、この問題について今すぐに考え始める必要があるのだ。本書はその思考の出発点だ」
ジェームズ・ロビンソン(シカゴ大学教授、『国家はなぜ衰退するのか』)

「『第三の支柱』はいま最も差し迫った課題について、洞察に満ちた見通しを与えてくれる。本書が提示するのは、私たちすべてが進むべき道だ。経済がどう機能でき、どう機能すべきかに関心のあるあらゆる人の必読書だ」
リンダ・ユー(『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』)

「政策の世界と学問界を、これほど見事に結びつける経済学者はほとんどいない。世界経済の間違った方向を指摘して、一貫して正しい経済学者はさらに少ない。ラジャンによる大胆かつ独創的な提案によって、今日の民主主義の病弊についての議論は大きく前進し、新たな領域に入るだろう」
ダニ・ロドリック(ハーヴァード大学教授、『グローバリゼーション・パラドクス』)

「ラジャンがまたやってくれた。新鮮で、洞察に満ち、魅力的な本書は、今日最も重要で、壊滅的になりうる課題について明晰な考察を与えてくれる」
モハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ・プレジデント)

「私たちが知っている民主主義を守る道を探し求めている、あらゆる人の必読書だ」
ジャネット・イエレン(第15代連邦準備制度理事会議長)

グローバリゼーションと、その社会的、政治的影響を俯瞰し、《国家》《市場》《コミュニティ》という三者が、その中でどのように相互作用し、バランスを失い、現在の危機につながっているのかを、壮大なスケールで描き、今後歩むべき道を「コミュニティの再生」に見出す、いま最も注目される経済学者のひとりによる提言の書。
経済学者は自らの領域を市場と国家の関係と考えるが、それは近視眼的だけではなく、危険ですらあると、ラジャンは主張する。あらゆる経済学は現実の政治経済であり、あらゆる市場は人間関係、価値観、規範の網目に埋め込まれているからだ。
著者は市場と市民社会の関係を再考し、社会に満ちつつある現場への絶望への処方箋として、包摂的ローカリズムを訴える。市場と国家からコミュニティへという大転換を、冷静な分析と温かい筆致で語った、もはや古典とも言えるベストセラー。

巻末の「解説」(齊藤誠「経済学者が「コミュニティの再生」を語るとき」)を以下よりダウンロードしてお読みになれます

目次

序文
序章 第三の支柱

第I部 三本の支柱はどう出現したか
1 強欲を許容する
2 強大だが制限された国家の台頭
3 市場を自由化し、守る
4 均衡におけるコミュニティ

第II部 不均衡
5 約束の重圧
6 ICT革命の到来
7 ポピュリズムの西側産業国での再来
8 世界のもう半分

第III部 均衡を回復する
9 社会と包摂的ローカリズム
10 国家とコミュニティの均衡を取り戻す
11 第三の支柱を再活性化する
12 責任ある主権
13 市場の改革

エピローグ

謝辞
解説 経済学者が「コミュニティ再生」を語るとき  齊藤誠
原注
索引

書評情報

河野龍太郎
(BNPパリバ証券経済調査本部長)
週刊東洋経済 2021年9月18日号
岡崎哲二
(東京大学教授)
日本経済新聞 2021年9月25日
松井彰彦
(東京大学教授)
日本経済新聞 2022年1月15日 「福祉と市場の連携目指せ 新しい資本主義を考える4冊」(今を読み解く)

関連リンク

日本経済新聞「エコノミストが選ぶ 経済図書ベスト10」2021年第8位

「情報通信技術(ICT)革命とグローバル化が地域コミュニティーを衰退させ、格差の固定や国家内・国家間の分断をもたらしつつあると警鐘を鳴らす注目すべき書」(岡崎哲二・東京大学教授)