資本主義だけ残った 電子書籍あり
世界を制するシステムの未来
CAPITALISM, ALONE
The Future of the System That Rules the World
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 360頁 |
定価 | 3,960円 (本体:3,600円) |
ISBN | 978-4-622-09003-8 |
Cコード | C0033 |
発行日 | 2021年6月16日 |
電子書籍配信開始日 | 2021年6月25日 |
備考 | 在庫僅少 |
CAPITALISM, ALONE
The Future of the System That Rules the World
判型 | 四六判 |
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頁数 | 360頁 |
定価 | 3,960円 (本体:3,600円) |
ISBN | 978-4-622-09003-8 |
Cコード | C0033 |
発行日 | 2021年6月16日 |
電子書籍配信開始日 | 2021年6月25日 |
備考 | 在庫僅少 |
「理論、データ、歴史、批判的思考――社会科学の頂点のひとつがここにある。格差は誰かのせいでも、ましてや自分のせいでもない。それは資本主義のシステムにあるのだ」
吉田徹(同志社大学教授)
『エコノミスト』誌ベストブック
『フィナンシャルタイムズ』紙ベストブック
『フォーリン・アフェアーズ』誌ベストブック
『プロマーケット』誌ベストブック
『プロスペクト』誌ベストブック
「われわれの未来についての、重要な問題をすべて提示している」ゴードン・ブラウン(元英首相)
「経済統計の第一人者[による]豊かな議論だ」ジェームズ・K・ガルブレイス(テキサス大学オースティン校教授)
「北京に住むのか、ニューヨークに住むのか、決断のときは近づいている」エドワード・ルース(『フィナンシャル・タイムズ』紙)
「この二つの資本主義が世界情勢を支配している。両者の共進化が今後数十年の歴史を形成することになるだろう」『エコノミスト』誌
「データの収集、評価において、類まれな最高の経済学者だ」ロバート・カトナー(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌)
「現存する(おそらく)唯一の社会経済システムへの理解を刷新しようとする、あらゆる読者、研究者にお薦めする」ロバート・ラコノ(LSEレビュー・オブ・ブックス)
二つの資本主義が世界を覆っている。米国に代表されるリベラル能力資本主義と、中国に代表される政治的資本主義だ。この両者がはらむ、不平等の拡大と腐敗の進行という病弊の根本原因を喝破し、欧米の社会科学界を震撼させたベストセラー。
1 冷戦後の世界のかたち
1 資本主義はただひとつの社会経済システムである
2 アジアの台頭と世界の再均衡化
本書の核心
2 リベラル能力資本主義
リベラル能力資本主義の定義
1 リベラル能力資本主義の特徴
a 過去の資本主義
資本所有者と労働者間の純生産物の分配/資本金持ちと労働金持ち/結婚のパターン/不平等の世代間継承/リベラル能力資本主義の複雑な性質
b リベラル能力資本主義で不平等を拡大させるシステム的要因と非システム的要因
2 システム的な不平等
a 国民所得に占める資本所得の総取り分の上昇
b 資本所有の高い集中
富の呪い
c 金持ちの資産は収益率が高い
d 同じ個人のなかで高い資本所得と高い労働所得が結びつく
e 同類婚(釣り合った結婚)の増加
結婚教育プレミアム
f 所得と富の世代間継承の増大
相対的移動性の低下
3 新たな社会政策
a なぜ21世紀の所得不平等に取り組むのに20世紀のツールが使えないのか
税と移転でできることの限界/小さな国家というリバタリアン的ユートピアは原始共産的政策でのみ達成できる/資本の所有の分散/同じ質の教育への平等なアクセス
b グローバリゼーション時代の福祉国家
移民と福祉国家
4 上位層は自己永続的か
上位1%が支配する政治/権力と富が結びつく/エリートが高額な教育を選ぶのは権力を強化するため/相続財産/上位層は部外者に開かれているか/リベラル能力資本主義での今日のエリート像
3 政治的資本主義
1 共産主義の歴史的位置づけ
a マルクス主義的世界観とリベラルな世界観では共産主義の歴史的位置づけを説明できない
用語の明確化──「共産主義」と「社会主義」/マルクス史観とリベラル史観における共産主義の役割/共産主義を扱うことの難しさ
b 20世紀の歴史において共産主義をどう位置づけるか
共産主義の世界史的な役割
2 第三世界(の一部)が資本主義化するために、なぜ共産主義革命が必要とされたのか
a 第三世界で共産主義革命が果たした役割
社会革命と国民革命
b 共産主義が成功したのはどこの国か
マルクスに反して、社会主義は先進国では成功しなかった
c 中国は資本主義か
3 政治的資本主義のおもな特徴
a 三つのシステム的特徴と二つのシステム的矛盾
鄧小平は現代の政治的資本主義の生みの親/固有の腐敗/システムについてのまとめ
b 政治的資本主義のシステムを擁するのはどの国か
4 中国の不平等についての考察
a 不平等全体の拡大
資本所得の割合が上昇
b 腐敗と不平等
腐敗の分配効果
5 政治的資本主義の持続性とグローバルな魅力
a ブルジョワジーが中国を支配するのか
スミス的資本主義とマルクス的資本主義/不透明な所有権と法の支配の欠如は異例ではない/中国は民主化するのか
b 中国は政治的資本主義を「輸出」するのか
適度な腐敗を受け入れる/中国は無関心/中国の政治的資本主義は移植できるか/なぜ中国は世界と(今より)かかわることが必要になるのか/政治的資本主義が成功するための決定的要因
4 資本主義とグローバリゼーションの相互作用
1 労働と移民
a 市民権プレミアムまたはレントの定義
市民権は「観念的」カテゴリー
b 経済資産としての市民権
市場性資産としての市民権/サブ市民権
c 生産要素の自由な移動
生産要素の自由な移動を支持する態度への変化/グローバリゼーションのもとでの移民/労働が資本と異なるのはなぜか
d 自国民の懸念と移民の希望との折り合いをつける
移民についての提案/この提案のメリット/この提案のデメリット
2 資本とグローバル・バリューチェーン
アンバンドリングとしてのグローバリゼーション/第二のグローバリゼーション/第二のグローバリゼーションがグローバル資本主義をもたらした
3 福祉国家——生き残るために
左派政党と福祉国家/機会のグローバルな不平等
4 世界に広がる腐敗
a グローバリゼーション時代における腐敗の三つの根拠
資本主義世界経済に統合されていない国では腐敗が制限される/受け入れ国で世界的な腐敗を可能にする要因/富裕国の消費パターンを模倣
b 腐敗を抑えるために今後もおそらくほぼ何もなされないのはなぜか
5 グローバル資本主義の未来
1 超商業化資本主義では道徳観念の欠如が避けられない
a マックス・ヴェーバーの資本主義
私悪は公益なり
b 道徳のアウトソーシング
内なる行動規範がない
c 「代わりはない」
システムからの撤退は現実的な選択肢ではない
2 原子化と商品化
a 家庭の利用価値が下がる
家庭生活への法的侵入が原子化を促す
b 日常の資本主義としての個人の生活
新たな商品の創造/商品化のマイナス面/人びとが資本主義における生産拠点になる
c 資本主義の覇権
3 技術進歩に対する根拠のない不安
a 労働塊の誤謬と私たちが未来を思い描けないこと
ロボットと擬人観の魅力
b ユニバーサル・ベーシックインカムの問題点
UBIは福祉国家の新たな理念を暗示する
4 豪奢で快楽に満ち(ルュクス・エ・ヴォリュプテ)
a 二つのシナリオ——戦争と平和
b 政治的資本主義 vs リベラル資本主義
所得と政治的自由のトレードオフ/三つのシナリオ
c グローバルな不平等と地政学的変化
d おわりに——本書が導くかもしれない社会システムについて
付録A グローバルな歴史における共産主義の位置づけ
付録B 超商業化とアダム・スミスの「見えざる手」
付録C 方法論的問題と定義
謝辞
解説 資本主義は不平等と腐敗を克服できるか 梶谷懐
索引/原注/参考文献
米中とも資本主義の一つの形といえる理由(梶谷懐・評)
「米国の資本主義は、私的領域のほとんどが商品化される『超商業化資本主義』に近づきつつあると危惧する一方、中国の資本主義も腐敗から生まれた不平等と無縁ではないと指摘している」(根井雅弘・京都大学教授)
(ブログ「経済学101」より)
著者ブランコ・ミラノヴィッチ氏インタビュー、寄稿記事の邦訳が以下のリンクでご覧になれます。
第一弾:仏マリアンヌ紙のインタビュー
「評論家、社会学者、経済学者のほとんどが「ポピュリズム」について論じています。しかし、実際に起こっているのは〔富裕層を優遇する〕「金権政治化」なのです。…」
第二弾:ブルガリア・セガ新聞のインタビュー
「私はいわゆる「テクノ・オプティミスト(テクノロジー楽観主義者)」です。インセンティブと「罰」、補助金と税金を適切に組み合わせれば、環境汚染や二酸化炭素の排出を抑制し、主要なテクノロジーをより環境に優しいものに変えられると信じています。…」
第三弾:ギリシャ語版出版記念インタビュー
「人々が満足に医療を受けられなければ、ごく少数が享受する経済成長など無意味です。…」
第四弾:解題記事:『資本主義だけ残った』の著者が明かす「四つの重要な裏テーマ」
「私たちは資本主義の中に閉じ込められている。そして、私たちは日々の活動によって資本主義を支援し、強化しているのである。…」
第五弾:解題記事:書評への著者自身による返答記事
「『資本主義だけ残った』よくある批判への回答:アリッサ・バティストーニの書評について」
第六弾:解題記事:資本主義のもとでの真正性の問題
「『資本主義だけ残った』世界の芸術家の役割」
第七弾:解題記事:書評への著者自身による返答記事
「いくつかのマルクス主義的論点」