みすず書房

エッセンシャル仏教

教理・歴史・多様化

BUDDHISM

What Everyone Needs to Know

判型 四六判
頁数 280頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-09036-6
Cコード C0015
発行日 2021年10月18日
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エッセンシャル仏教

「仏教を立体として読者の心に伝達することのできる、知りうる限りで最良の概説書」(「監修者あとがき」より)。

40年にわたり仏教を探究するアメリカの碩学がおくる世界標準の入門書。ブッダ(釈迦)にはじまり2500年におよぶ歴史、上座説と大乗、密教、禅などさまざまな教えと思想の展開、親鸞や道元、ダライ・ラマ、ティク・ナット・ハンらの事績、欧米から各国に広がるグローバルな世俗仏教、注目が高まるマインドフルネス瞑想まで――現代人が知っておくべき仏教の核心を、一問一答形式で的確かつ簡潔に説く。仏教を基礎から知りたい初学者から学びを深めたい本格派まで、入門・再入門のどちらにもふさわしい1冊。

京都の諸寺から高野山まで各地の寺院を訪ね、日本の仏教学者とも交流を重ねてきた著者が日本との縁を語る序文を収録する。

目次

日本の読者のみなさんへ──序文
はじめに

第一章 原始仏教の誕生
一・一 仏教はいつ、どこで始まったのか?
一・二 仏教が誕生した時代の宗教的・文化的背景は?
一・三 ブッダはどんな人だったのか?
一・四 ブッダの生涯についての言い伝えは、どこまで歴史的事実にもとづいているのか?
一・五 ブッダの名前や称号にはどのような意味があり、ブッダについての初期仏教徒の理解をどのように反映しているのか?
一・六 ブッダはどのような人生を生きたのか?そして、みずからの生き方を中道と呼んだのはなぜなのか?
一・七 ブッダの初期の弟子はどんな人たちだったのか? 彼らはどのような人生を送ったのか?
一・八 初期の仏教徒にとって、サンガとはどのようなものだったのか?
一・九 初期の仏教コミュニティにおいて、女性はどのような役割を演じていたのか?
一・一〇 比丘・比丘尼の生活を支配する規律とは、どのようなものだったのか?
一・一一 出家者と在家信者との関係は?
一・一二 在家信者はどのような修行をしたのか?
一・一三 インド北部の社会システム、とくに古代のカースト制度に初期の仏教徒はどのように対処したのか?
一・一四 仏教の聖典は何か?
一・一五 初期の仏教経典はどんな問題を扱っていて、仏教の修行をするときにどのように使われていたのか?
一・一六 初期仏教とインドの他の宗教的伝統との関係は?
一・一七 ブッダはいつ、どのようにその生涯を閉じたのか?
一・一八 ブッダ入滅後、仏教徒のコミュニティはどうなったのか?

第二章 仏教の多様性 
二・一 仏教はいつ、どのようにしてインド北部を越えて広まったのか?
二・二 仏教の「根本分裂」とは何か? 各部派はどのように発展したのか?
二・三 ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアの東南アジア文化における仏教の際立った特色は何か? それらの仏教文化はスリランカの仏教の伝統とどのような関係があるのか?
二・四 大乗経典とは何か? それはブッダとかかわるそれまでの経典とどう違うのか?
二・五 経典はいくつあり、仏教徒はどの程度それを読んでいるのか?
二・六 多くの仏教経典のなかで、仏教の聖典をよく理解するうえで最も重要なものはどれか?
二・七 経典のほかに、仏教の発展に影響を与えた文献はあるか?
二・八 シルクロードは仏教史においてなぜ重要なのか?
二・九 仏教は、すでに確立され洗練されていた中国文化にどのように伝わり、受け入れられたのか?
二・一〇 中国、ベトナム、朝鮮、日本における仏教の最大の特徴は何か?
二・一一 チベットとモンゴルでは、仏教はどのように定着し、どのように独自の宗派に発展していったのか?
二・一二 密教とは何か、それは独自の仏教としてどのように発展してきたのか?
二・一三 禅とは何か?
二・一四 仏教はアジア一帯に広まったあと、なぜインドで衰退したのか?
二・一五 仏教は西洋との接触でどのように発展したのか?
二・一六 西洋仏教はどのように生まれ、それはアジア仏教とどのような関係があるのか?

第三章 仏教の教え 
三・一 仏教徒は神を信じているのか?
三・二 四諦とは何か?
三・三 苦を強調する仏教は、悲観的な宗教ではないのか?
三・四 仏教では、苦の原因についてほかにどんな教えが重要だとされているのか?
三・五 仏教で人生に有害だと考えられている癡は何か?
三・六 仏教では、万物の無常性はどう理解されているのか?
三・七 縁起とは何か? それは仏教の思想と修行でどんな役割を果たしているのか?
三・八 仏教における無我(無魂)の教えとは何か?
三・九 自己も魂もないのなら、私とはいったい何なのか? 仏教徒は人間であることをどのように理解しているのか?
三・一〇 仏教徒は死と来世をどのように考えているのか?
三・一一 仏教におけるカルマ(業)とは?
三・一二 カルマは再生や輪廻の仏教思想とどのように結びついているのか? 来世にどのような効果を生むと考えられているのか?
三・一三 仏教徒の道徳観において、カルマと再生にはどんな役割があるのか?
三・一四 仏教の宇宙観とは?
三・一五 仏教では信仰に役割はあるのか? あるとしたらどんな役割か?
三・一六 大乗仏教とそれ以前の仏教を区別する教えは何か?
三・一七 大乗仏教における菩薩の理想は何か? それは初期の上座説仏教における聖人のイメージとどう違うのか?
三・一八 大乗仏教の「空性」の教えとは何か? 菩薩が智慧と慈悲を求めることとどのような関係があるのか?
三・一九 ブッダに対する仏教徒の理解はどのように変わっていったのか?
三・二〇 密教の伝統を特徴づける教えは何か?
三・二一 礼拝型仏教の基本的な教えは何か?
三・二二 禅仏教の主要な教えは何か? それらは禅の修行においてどんな役割を果たしているのか?
三・二三 仏教における主要な規則、徳行、悪徳は何か?
三・二四 仏教における悟りとは何か? それは涅槃のことなのか?

第四章 仏教の修行 
四・一 仏教の教えと修行は、どのような関係にあるのか?
四・二 仏教の修行は、カルマ、そして悟りという目標にどう関係するのか?
四・三 仏教の修行によって、人生のどの側面が影響を受けるのか?
四・四 仏教の瞑想とはどのようなものか?
四・五 仏教における瞑想の基本形態は?
四・六 仏教瞑想の実践者は瞑想中に何をしているのか?
四・七 瞑想では姿勢が重要だと考えられているのはなぜか?
四・八 仏教では、祈りは重要なのか?
四・九 道徳的な自己修養のどのような修行が、仏教において重要な役割を果たしているのか?
四・一〇 仏教の修行の道に段階はあるか?
四・一一 仏教徒が重視すべき苦行はあるか?
四・一二 仏教の修行において、儀式はどのような役割を果たしているのか?
四・一三 仏教の修行において、経典と読誦にはどのような意味があるのか?
四・一四 仏教の修行において、ブッダをモチーフにした美術的表現は重要なのか?
四・一五 仏教の修行において、聖地と巡礼は意味があるのか?
四・一六 仏教の修行では、美術や音楽は使われているか?
四・一七 僧侶、導師、その他の宗教専門家は、仏教徒にとってどのような役割を果たしているのか?
四・一八 密教的修行は、それまでの仏教の宗派の修行とどのように違うのか?
四・一九 禅の修行はどのように独自の発展を遂げたのか?
四・二〇 仏教徒は改宗者を増やそうと努力しているか?

第五章 現代のグローバル仏教 
五・一 仏教は宗教なのか? もしそうなら、どのような点で宗教なのか?
五・二 仏教はなぜ、世界じゅうで関心を集めているのか?
五・三 世界の主要な宗教と比較して、仏教の古さや仏教徒の数はどうなのか?
五・四 仏教は政治権力とどんな関係にあるのか?
五・五 仏教と近代科学はどのような関係にあるのか? 現在、その関係が頻繁に強調されるのはなぜか?
五・六 仏教の基本的な価値観と資本主義の考え方のあいだに矛盾はあるか?
五・七 仏教と現代心理学にはどのような関係があるのか?
五・八 世俗仏教とは何か? 仏教は現代のグローバル社会の全体的な世俗性にどのように適応してきたのか?
五・九 ダライ・ラマとは誰か?
五・一〇 ダライ・ラマのほかにも、よく知られた、重要な仏教指導者はいるか?
五・一一 仏教の指導者たちは、暴力、戦争、平和についてどのような立場をとっているのか?
五・一二 自然と環境に関して、仏教から学べることはあるか? エコ仏教、グリーン仏教とは何か?
五・一三 仏教はその誕生の地であるインドから事実上消滅したあと、現代になって復活したのか?
五・一四 仏教徒は中国の宗教規制の緩和にどう対応したか?
五・一五 仏教の人道組織とその組織内での女性のリーダーシップは、東アジア仏教をどのように変えてきたか?
五・一六 チベットにおける仏教の現状、および亡命チベット人の仏教の現状は?
五・一七 仏教は、離婚、中絶、自殺といった問題にどのように対処しているのか?
五・一八 現代の仏教徒が祝う祝日や行事は何か? 仏教徒が重要だと考えている巡礼はあるか?
五・一九 仏教における女性の役割は、現代のアジアや、西洋の寺院や瞑想センターでどのように変化してきたか?
五・二〇 学校や病院など、世俗的な環境における現代のマインドフルネスの実践は、仏教の瞑想の伝統とどのように関連しているのか?
五・二一 仏教にはどのような未来が待っているのか?

監修者あとがき  佐々木閑
さらに学びたい人のために──文献案内
索引

書評情報

中島隆博
(哲学者・東京大学教授)
「現実に関与 生きた教え」
読売新聞 2021年12月19日

関連リンク

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