みすず書房

皮膚、人間のすべてを語る 電子書籍あり

万能の臓器と巡る10章

THE REMARKABLE LIFE OF THE SKIN

An Intimate Journey Across Our Surface

判型 四六判
頁数 320頁
定価 3,520円 (本体:3,200円)
ISBN 978-4-622-09092-2
Cコード C0040
発行日 2022年5月9日
電子書籍配信開始日 2022年6月10日
オンラインで購入
電子書籍を購入 *価格は各電子書店でご確認ください
皮膚、人間のすべてを語る

「自分」が皮膚の内側に隠れていると思ったら大間違い。皮膚こそ、自分そのものであり、つねに私たちを語っている。とくに、アイデンティティとの関連では皮膚の色に格別の関心が置かれがちだが、皮膚はもっとずっと多彩なやり方で私たち自身を形作っている。そして、健康、美容といった生活面はもちろんのこと、「哲学や宗教、言語にまで、単なる物質的なあり方をはるかに超えた影響力を及ぼしている」と著者はいう。
本書が提供するのは、著者の専門である科学・医学はもちろん、社会・心理・歴史などの領域を含む、広大な皮膚の世界を巡る旅だ。ポケットから鍵を取り出してドアを開けるという動作一つとっても、皮膚がどれほど精妙に機能しているか、もしあなたが意識したことがなかったなら、きっとこの本の随所に発見が待っている。
卓越した案内人である著者とともにこの大きな旅を終えたときには、知りたかったことすべてを見て回ったように感じられるだろう。自分の皮膚の実力を知るだけで、私たちは小さな支えを得る。なぜなら、「それはつまり、私たちが何者であるかを理解すること」だからだ。
米英で大好評を得た2019年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作の、待望の邦訳。

目次

名称と用語について
プロローグ

第1章 マルチツールのような臓器
皮膚の構造とはたらき

第2章 皮膚をめぐるサファリ
ダニやマイクロバイオームについて

第3章 腸感覚
身体の内と外のかかわり

第4章 光に向かって
皮膚と太陽をめぐる物語

第5章 老化する皮膚
しわ、そして死との戦い

第6章 第一の感覚
触覚のメカニズムと皺

第7章 心理的な皮膚
心と皮膚が互いに及ぼす影響について

第8章 社会の皮膚
刻んだ模様の意味

第9章 分け隔てる皮膚
ソーシャルな臓器の危険な側面──疾病、人種、性別

第10章 魂の皮膚
皮膚が思考に及ぼす影響──宗教、哲学、言語について

本書に寄せて(椛島健治)
参考文献
用語解説
索引

書評情報

藤原辰史
(京都大学准教授・食農思想史)
「自分を理解するための実践哲学」
朝日新聞 2022年6月18日
野家啓一
(立命館大学客員教授)
「〈見える臓器〉の多面的働き」
日本経済新聞 2022年6月18日
辛島デイヴィッド
(作家・翻訳家 早稲田大学教授)
「厚さ数㍉奥深い世界」
読売新聞 2022年8月14日

関連リンク

プロローグ

(全文ウェブ転載)