ネオ・ダダの逆説
反芸術と芸術
判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 344頁 |
定価 | 6,050円 (本体:5,500円) |
ISBN | 978-4-622-09093-9 |
Cコード | C1070 |
発行日 | 2022年11月18日 |
備考 | 在庫僅少 |
判型 | A5判 |
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頁数 | 344頁 |
定価 | 6,050円 (本体:5,500円) |
ISBN | 978-4-622-09093-9 |
Cコード | C1070 |
発行日 | 2022年11月18日 |
備考 | 在庫僅少 |
前衛美術集団〈ネオ・ダダ〉は、「読売アンデパンダン展」を主な舞台に発表していた美術家が吉村益信のアトリエ「新宿ホワイトハウス」を活動拠点とし、1960年に結成したグループである。当初〈ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ〉と称した彼らの活動期間は極めて短く、破壊的なイメージだけが先行した。しかし、メンバーは美術史的に見ても逸材ぞろいで、吉村、赤瀬川原平、風倉匠ら大分出身の美術家を中心に、篠原有司男、荒川修作、田中信太郎、吉野辰海など才気あふれる若者が集結した。グループ周辺には工藤哲巳や三木富雄、建築家の磯崎新などがいた。この顔ぶれと密度ゆえ、日本の現代美術は〈ネオ・ダダ〉から始まったといっても過言ではない。
街頭での奇矯なパフォーマンスや作品の体(てい)を成さないオブジェの展示など、公衆には理解しがたい過激な作風は数々の論争を巻き起こしたが、フルクサスなど欧米の前衛芸術と時代精神を共有した先駆的な活動であった。記録写真以外に作品をほとんど残さず、解体後はメンバーの半数以上が渡米するなど、グループとしての表現行為の意義や成果が見えにくい面はあったものの、反芸術から非芸術、超芸術など、多様な芸術の様相(モダリティ)と関係し、破壊と創造を繰り返しながら浮上した。
〈ネオ・ダダ〉縁(ゆかり)の地である大分の美術館で長く前衛芸術を考究し、展覧会企画で彼らを検証し続けた美術史家が、満を持して送る「反芸術」論。
プロローグ
第I部 ネオ・ダダ盛衰史
第1章 新宿ホワイトハウスからネオ・ダダへ
1 「ネオ・ダダJAPAN 1958-1998」について
2 〈ネオ・ダダ〉前夜
3 ホワイトハウスと〈ネオ・ダダ〉の1960年
第2章 ネオ・ダダと反芸術
1 後期「読売アンデパンダン展」の熱気
2 渡米するアーティストたち
3 ポップ・アートと60年代前半のアート・シーン
4 千円札裁判と反芸術
第3章 アヴァンギャルド以後のネオ・ダダ
1 吉村益信の帰国と磯崎新の万博
2 躍進したネオ・ダダイストたち
3 日常性の見直し
4 〈ネオ・ダダ〉の遺伝子
5 なぜ今〈ネオ・ダダ〉なのか
第II部 ネオ・ダダイスト列伝
第4章 吉村益信
1 吉村益信の実験 実験の軌跡
2 吉村益信論 実験の分析――応答と責任
第5章 風倉匠
1 風倉匠における地と図
2 風倉の正体――パフォーマンスを中心に
第6章 赤瀬川原平
1 赤瀬川原平の根源 60年代の前衛とその終焉
第7章 磯崎新
1 磯崎新の原点――大分 アヴァンギャルドの聖地
2 美術家としての磯崎新
3 [磯崎新の謎]展の謎
あとがき
図版一覧
初出一覧
索引