日ソ戦争 南樺太・千島の攻防
領土問題の起源を考える
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 280頁 |
定価 | 3,740円 (本体:3,400円) |
ISBN | 978-4-622-09526-2 |
Cコード | C1021 |
発行日 | 2022年7月19日 |
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 280頁 |
定価 | 3,740円 (本体:3,400円) |
ISBN | 978-4-622-09526-2 |
Cコード | C1021 |
発行日 | 2022年7月19日 |
『日ソ戦争1945年8月――棄てられた兵士と居留民』(2020年刊)で記述できなかった南樺太・千島戦およびその後の占領の経過と考察を、続編として刊行する。ヤルタ密約後のソ連の参戦動機と米ソの角逐から、日本人捕虜や居留民の実態、ソ連による南樺太・千島の占領と併合、現在まで、ロシア側資料もふんだんに使用し、日本軍・ソ連軍・各兵士、および住民の多様な記録から戦闘の全貌と詳細をしるす最新研究である。北方領土問題を考えるためにも、重要な書となるだろう。
「南樺太・千島戦とその後の占領は、ロシア国防省のソ連軍戦闘記録デジタル文書と防衛研究所所蔵文書、そして参戦し、捕虜になった将兵や住民、島民の回想記を活用することによって、かなりの程度まで解明される。南樺太や占守島での奮闘が「北海道上陸作戦」を阻止したという思い込みに反駁し、従来ほとんど無視されてきたソ連海軍太平洋艦隊の動向の一部解明も併せて、「太平洋への出口」確保戦略を実証するものとなろう」。
凡例と用語
はじめに
序章 ソ連の参戦動機と米ソの角逐
一 重要な大洋への出口=海峡
二 樺太・千島方面の両軍の戦争準備
三 米国の千島処理案と米ソの作戦
四 第五方面軍の対米・対ソ戦判断
第一章 南樺太(サハリン)での攻防
第一節 日ソ両軍の戦争準備
一 ソ連軍の態勢
二 日本軍の態勢
第二節 国境線から古屯方面まで
一 半田沢の攻防
二 師走川付近の攻防
三 ソ連軍の迂回古屯攻め
四 八方山陣地の攻防
第三節 西海岸上陸と内陸侵攻
一 塔路・恵須取上陸と抗戦
二 真岡市街と周辺山地
三 北・西方面から豊原・大泊占領へ
四 住民たちの逃避行と南下
1 ソ連軍上陸直後の真岡住民 2 死の内恵道路 3 豊原駅の空襲――駅長等の証言 4 脱出の大泊港で――避難民小六生の証言
第二章 千島(クリル)攻防と北海道上陸作戦
第一節 日ソ両軍の戦争準備
一 ソ連軍の態勢
二 日本軍の態勢
第二節 占守島の攻防戦
一 海上輸送と竹田浜上陸
二 一七一高地攻防戦と九一師団降伏
第三節 南千島をめぐる戦略的攻防
一 日本軍守備隊の準備の実態
二 南樺太・南千島・北海道連携作戦と中止
三 中・南千島と色丹・歯舞の占領
四 「小クリル」のトリックと水津回想
第四節 ソ連軍上陸・占領の日本側行政記録
第三章 捕虜と拘束居留民
第一節 捕虜の収容と送還
一 捕虜の移送
二 将兵の回想記に見る虜囚生活
第二節 拘束居留民と引揚げ
一 軍政の開始と住民
1 占領地からサハリン州へ 2 経済生活の激変と対応
二 ソ連当局の引留め策と引揚げ
三 千島住民の強制退去と樺太経由帰還
四 サハリンの大陸流刑者たち
終章 四島問題を起源から考え直す
一 南樺太・千島の占領から併合まで
二 敗戦から講和までの内外の動向
[資料1]日ソ首脳会談 通訳野口芳雄メモ(1956年10月、2005年公表)抜粋
[資料2]南クリルの日本譲渡に反対する(ユ・カイシン海軍参謀少将、1992年6月)
[資料3]アイヌ民族からみた「北方領土」
文献一覧と一部解題
おわりに
図版一覧