みすず書房

死者は生者のなかに

ホロコーストの考古学

判型 四六判
頁数 248頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-09546-0
Cコード C1020
発行日 2022年12月9日
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死者は生者のなかに

「私がトレブリンカにおいてはじめて耳に聞こえてきた詩のいくつかは私がなんのために詩を書くのかという問いに対するもっとも明快なメッセージだった。アウシュヴィッツ後に詩を書くことが可能か可能でないか、そうするべきかべきでないかというアドルノたちの問いに対しての答えがここにある。私たちの探究はそのときから始まったのだ」(J・ロゼンバーグ)
「自身が〈ホロコースト経験者〉であろうとあるまいと、その時代を生きのびた〈サバイバー〉たちが〈生者〉の〈特権〉でもあり〈責務〉でもある〈考古学者〉として務めを果たそうとした痕跡」を追いかける試み。ウィリアム・スタイロン、I・B・シンガー、エリ・ヴィーゼル、プリモ・レーヴィ、アンナ・ラングフュス、イェジー・アンジェイェフスキ、イェジー・コシンスキ、サミュエル・ベケット…。ポーランド文学・イディッシュ文学のスペシャリストが満を持してとりくんだ待望のホロコースト文学論。

カバー写真 ビルケナウの慰霊碑(撮影・著者)。「多くがヨーロッパ各国のユダヤ人であったおよそ150万人の男、女、子どもをナチの殺人者たちが抹殺したこの土地が、永遠に全人類に記憶を呼び覚まし警鐘を鳴らす場所でありますように。アウシュヴィッツ‐ビルケナウ 1940-1945」

目次

凡例

第1章 歌だけは無事生き存らえて
第2章 彼女たちに無用の苦しみを与えてはならない
第3章 十人の敵でも与えられないほどの害
第4章 抵抗するために生き、生きるために抵抗する
第5章 見られるものなら見てみるがいい
第6章 女はゲットーと関係を結んで
第7章 みんなは天使に変身ね
第8章 なぜ彼らは羊のように
第9章 狩人に追われて逃げまどう

謝辞 あとがきにかえて
人名索引

書評情報

奥 彩子
(共立女子大学教授)
「ホロコースト文学 探求深く」
日本経済新聞 2023年1月21日
姜 信子
(作家)
「抑圧され封じられた女の声」
熊本日日新聞 2023年2月12日
細見和之
(京都大学教授、ドイツ思想・比較文学)
「戦慄する世界へ導く 新たな「ホロコーストの文学」誕生」
週刊読書人 2023年2月10日
東琢磨
「「名もなき民」の「小さな声」を継承する」
intoxicate 第162号(2023年2月)
安原伸一朗
(日本大学教員)
「繊細かつ正確、しなやかな読解で「声」に応えようとする
ホロコースト文学にかんする優れた読書案内としても読むことができる」
図書新聞 2023年3月4日
〈狸〉
日刊ゲンダイ 2023年3月18日