デジタル時代のアーカイブ系譜学
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 280頁 |
定価 | 4,620円 (本体:4,200円) |
ISBN | 978-4-622-09555-2 |
Cコード | C3000 |
発行日 | 2022年12月1日 |
判型 | 四六判 |
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頁数 | 280頁 |
定価 | 4,620円 (本体:4,200円) |
ISBN | 978-4-622-09555-2 |
Cコード | C3000 |
発行日 | 2022年12月1日 |
〈本書を通じて目指したのは、なんらかの本質を持つようなアーカイブなるものが自己実現するという進歩史観的な歴史像を提示することではない。むしろ、雑多な思想や制作や営為が合流した結果として、わたしたちが現在のデジタル時代のアーカイブを想像できるようになっていることを示そうとした。複雑なアーカイブという現象を、単純化したモデルとして提示するのではなく、むしろ個々の事例に即して解像度を上げて理解しようと試みたのである〉
デジタルアーカイブの定義の変遷から、文書をデジタル化する意味と問題、保存と活用の現状、博物館・図書館・文書館を貫く効用と課題、自治体史や研究者資料における役割、サブカルやユーチューブと著作権問題、複製技術の歴史など、気鋭の研究者11名による論考を収録。デジタル時代の今日において「アーカイブ」と呼ばれるものに合流してきたさまざまな系譜を歴史的に明らかにするとともに、それが社会に作用する仕方の見取り図の全貌を示す。
はじめに 柳与志夫
序章 デジタル時代のアーカイブの諸系譜をたどるために………加藤諭・宮本隆史
はじめに/アーカイブの系譜学に向けて/デジタル時代のアーカイブはどう議論されてきたか/デジタルアーカイブの政策の流れ/本書の流れ
第一部 アーカイブの系譜を解きほぐす
1 アーカイブの概念史………加藤諭
はじめに/1 1990年代におけるデジタルアーカイブの文脈/2 2000年代におけるデジタルアーカイブ概念の展開/3 2010年代におけるデジタルアーカイブ概念の拡張/おわりに
2 アーカイブの技術史………大向一輝
はじめに/1 デジタル技術の特性/2 デジタルアーカイブの基盤技術/3 コンテンツの識別と参照/4 オープンワールドのアーカイブに向けて
3 博物館・図書館・文書館から見たアーカイブ史………嘉村哲郎・加藤諭・福島幸宏
1 文書館が目指すデジタルアーカイブに関わる取り組みと議論/2 図書館資料とアーカイブ/3 博物館のデジタルアーカイブに関わる取り組みと議論/4 おわりに
第二部 多様なアーカイブの文脈を紐解く
4 自治体史とデジタルアーカイブ………福島幸宏
はじめに/1 地域の公的アーカイブを考える/2 課題と展望/おわりに
5 研究者から立ちあがるアーカイブ………宮本隆史・加藤諭・福島幸宏
はじめに/1 夏目漱石の漱石文庫/2 矢内原忠雄に関する研究者アーカイブ/3 牧野富太郎と末永雅雄の標本・書籍・資料/4 鶴見良行文庫とそのアーカイブ/おわりに
6 文化活動の側面を持つアーカイブ――祭の記録から動画投稿まで………鈴木親彦・谷川智洋・加藤謙信
1 草の根活動とアーカイブ的側面/2 事例から見る「草の根活動」のアーカイブ/3 神田祭に見るアーカイビング/4 サブカルチャー・オタク文化/5 ネットワーク上の営み/6 デジタルアーカイブ的なものとデジタルアーカイブの間で
第三部 アーカイブをメディアとして読み解く
7 複製技術とアーカイブ――日本における文書複製・保存技術の歴史的系譜………阿部卓也
はじめに/1 対象と方法/2 近世の終わり~戦前/3 戦後/4 おわりに
8 デジタルテキストのメディア特性………中村覚・宮本隆史
はじめに/1 オールド・ベイリ・プロジェクトとその背景/2 オールド・ベイリ・オンラインの特徴/おわりに
9 コミュニティの想像とアーカイブ………稲葉あや香・宮本隆史
はじめに――アーカイブをメディアとしてとらえる/1 日系カナダ人の歴史アーカイブ「不正義の景観」をめぐる実践/2 コミュニティ概念の批評としてのアーカイビング――カビール・プロジェクトの事例/おわりに
終章 まとめと展望………加藤諭・宮本隆史
おわりに
索引
編者・執筆者紹介