みすず書房

「絶滅の時代」に抗って 電子書籍あり

愛しき野獣の守り手たち

BELOVED BEASTS

Fighting for Life in an Age of Extinction

判型 四六判
頁数 368頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-09710-5
Cコード C0040
発行日 2024年7月10日
電子書籍配信開始日 2024年7月26日
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「絶滅の時代」に抗って

野生動物をどうまなざすか考えることは、わたしたちがどう振る舞うかを考えること。価値ある資源か、御しがたい厄介者か、はたまた守るべき隣人か。異なる価値観に翻弄されつつも、愛しき野獣を守ろうとした者たちの奮闘の歴史が、本書の主題である。
これは、常識変遷のストーリーでもある。ほんの250年前、進化理論は影も形もなく、絶滅の概念さえおぼろげだった。ほんの100年前は、野生動物保護は狩猟のために行うのであって、オオカミやタカなどの捕食動物は駆除すべき害獣だった。そして、世界初の絶滅危惧種保護法が米国で成立したのが約60年前。それ以来、国際的な保護の機運が広がり、いまや「豊かな生物多様性の価値」は常識となりつつある。
このような変化は、科学の発展によるところも大きい。だが、思想を深めた者、法に訴えた者、政治に働きかけた者、そして市民に広くよびかけた者なしには、決してありえなかったはずだ。レイチェル・カーソンやジュリアン・ハクスリー、アルド・レオポルドやウィリアム・ホーナデイなど、挫折や対立をものともせず「行動した者」たちが、今の常識を作ってきた。
自然保護活動には、解決を待つ難題が山積みであり、昔も今も近道はない。先人たちや、今まさに現場にいる人々の奮闘を記した本書が羅針盤となり、これからも続く生物多様性保全の進展を導くだろう。

目次

序章 イソップのツバメ
第1章 動物を名づけた植物学者
第2章 剥製師とバイソン
第3章 猛女(ヘルキャット)とタカ
第4章 森林管理官と緑の炎
第5章 教授と不死の妙薬
第6章 ワシとツル
第7章 象牙の塔を出た科学者
第8章 サイとコモンズ
第9章 多数を救う少数
終章 ホモ・アンフィビウス

謝辞
人名索引/事項索引/生物名索引/図版出典

原注

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妄想と絶望に流されないための歴史

編集者からひとこと(WEBみすずサイト「新刊紹介」)

書評情報

遠藤秀紀
(解剖学者・東京大学教授)
「自然保護 率いた「闘争者」」
読売新聞 2024年10月13日