みすず書房

ハイブリッド・ヒューマンたち 電子書籍あり

人と機械の接合の前線から

HYBRID HUMANS

Dispatches from the Frontiers of Man and Machine

判型 四六判
頁数 256頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-09718-1
Cコード C0036
発行日 2024年7月16日
電子書籍配信開始日 2024年7月19日
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ハイブリッド・ヒューマンたち

アフガニスタン紛争地に従軍して両脚を失った作家が、義肢からBMIまで、障害の支援技術(アシスティブ・テクノロジー)をテーマに綴った出色のエッセイ。身体と機器の接合が自己の感覚、生活の質、障害のスティグマをいかに劇的に変えるか。機器がユーザーにもたらす希望や疑念、そして接合の代償とは──。心身の経験をさまざまな当事者の目線に沿って見つめる。
脚を失って知った、義足の賢さと面倒くささ、日常の痛み、ただれや摩擦の飼いならし方。以前、兵士だった頃は強さこそが価値とされた(「勝てないことの結果が二位であり、二位が死であるとき、弱さの入る余地はほとんどない」)。そんな著者にとってあらたな生活は、心にくすぶるエイブリズムとの格闘でもある。「障害者」という呼称も腑に落ちない著者は、機械との接合の前線を拓いている人々の話を聞きに行く。チタン‐骨結合を用いる義足の早期導入者やその開発者たち、支援機器の研究者たち、個性としての義肢の可能性を拡げるアートプロジェクト……。
その情景を曇りのない目で評価しようとする書き手の意志が、湿度を削ぎ落した語りを通して伝わってくる。義肢の歴史や、障害者の権利をめぐる闘いの足跡にも行き当たりながら、アシスティブ・テクノロジーと人間の関係の現在を描き出す。

迷い、学び、この今を歩いていく。
あたらしい身体の現実と希望を生きる
彼の言葉すべてに共感した!

──市川沙央

目次

壊れた身体の夢
ハイブリッドになる
金属の亡霊たち
インターフェーシング
取引
骨のこぎりをくれ
自由は高くつく
絶えゆく光への激しい怒り
われわれの似姿に
サイボーグがやってくる
怪物たち
金継ぎ

謝辞
訳者あとがき

エイブリズムについての注記
図版出典
参考文献

書評情報

森岡正博
(早稲田大学教授)
「融合する身体と機械の現実」
日本経済新聞 2024年8月31日
木下直之
(静岡県立美術館館長)
「境界線に見直しを迫る」
秋田さきがけ、琉球新報ほか共同通信配信 2024年8月31日
渡部沙織
(医療社会学者)
「機械や人工物と融合していく身体 清濁併せ呑み抱く、未来への希望」
週刊東洋経済 2024年11月2-9日合併号