みすず書房

つくられた日本の自然

「日本の自然」はどのように語られてきたか

判型 四六判
頁数 248頁
定価 3,520円 (本体:3,200円)
ISBN 978-4-622-09752-5
Cコード C0021
発行日 2025年11月17日
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つくられた日本の自然

「日本の自然」は自然の実態そのものではない。それは自然を表象したものであり、長い歴史のなかで文化的に構築されてきたものである。それはいかにしてつくられてきたのだろうか。
古代日本では稲こそが自然であり、収穫の秋はかなしみではなく喜びの季節だった。『万葉集』『古今和歌集』が育んだ四季概念。武士の枯山水。江戸時代の版画に描かれた富士山、水田、桜。こうした表象を「国有化」し、軍国主義に利用した近代。そして「自然」を消費する現代へ。
「自然」という作為を人類学の視座から描く。

目次

序章――人類学理論における「自然」
第一章 日本人の宇宙に住まう者たち
第二章 清らかな水田――奈良時代初期における「日本の自然」の誕生
第三章 農耕民族の四季から文化的に定義された四季へ――奈良時代と平安時代
第四章 「日本の自然」としての枯山水――中世
第五章 「日本の自然」としての水田、桜、富士山――江戸時代
第六章 「日本の自然」の国有化と軍事化――近代
第七章 「日本の自然」の家畜化・商品化
第八章 消費主義の文化的基盤
終章

あとがき
図版一覧

索引

お詫びと訂正

本書第1刷(2025年11月17日発行)124頁4行目に、次の誤りがございました。謹んでお詫び申し上げますとともに、ここに訂正いたします。(2025年12月8日)

(誤) 新井白石

(正) 杉田玄白