みすず書房

競争なきアメリカ 電子書籍あり

自由市場を再起動する経済学

THE GREAT REVERSAL

How America Gave Up on Free Markets

判型 四六判
頁数 416頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-09754-9
Cコード C1033
発行日 2025年3月17日
電子書籍配信開始日 2025年4月2日
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競争なきアメリカ

アメリカでのブロードバンド平均月額料金は66.17ドル。対してドイツでは35.71ドル、フランスでは38.10ドル支払えば、同等のサービスが利用できる(2017年)。熾烈な価格競争が行なわれるはずの自由市場の国アメリカでは、ヨーロッパの人々の2倍近くを払わないとインターネットを利用できない。
本書によると、これは通信業界だけの問題ではない。競争が減少し、一握りの企業への集中が高まったことで、様々な物・サービスの市場で価格が上昇しているという。その背景には企業の政治家へのロビー活動や選挙資金提供で歪められた政策があると著者は喝破する。カネと政治の結合が歪めたのは価格だけではない。投資、生産性、経済成長、賃金が低調になり、格差が拡大した。Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftといった21世紀のテック系スターは、GE、GMといった過去のスター企業を上回るほど経済に貢献してはいない。ニューヨーク大学スターン経営大学院でマクロ経済とファイナンスを専攻する経済学者が、データを徹底的に活用して説く。「21世紀の資本主義を理解するための必読書」(ガブリエル・ズックマン。カリフォルニア大学バークレー校経済学部)。

目次

はじめに
序論

I アメリカにおける市場支配力の高まり
1 経済学者はなぜ競争が好きなのか……なぜあなたもそうあるべきなのか
2 悪い集中、良い集中
3 市場支配力の増加
4 投資と生産性の低下
5 自由参入の失敗

II ヨーロッパの状況
6 一方、ヨーロッパではどうか
7 アメリカの物価は高すぎるのか
8 ヨーロッパ市場はどのように自由化したのか

III 政治経済学
9 ロビー活動
10 カネと政治

IV いくつかの産業を掘り下げる
11 バンカーの報酬はなぜ高いのか
12 アメリカの医療──自ら招いた禍
13 星を見上げて──トップ企業は本当に違うのか
14 規制すべきか否か、それが問題だ
15 買い手独占力と格差

結論

補足資料/用語集/謝辞
参考文献/索引

『競争なきアメリカ』の読みどころを3つ(、4つ)ご紹介

編集者からひとこと(WEBみすずサイト「新刊紹介」)

書評情報

BOOK REVIEW
「米国経済市場に何が起きているのか」
週刊BCN 2025年04月28日vol.2057
櫻川昌哉
(経済学者・慶応大名誉教授)
「活性化生まない産業集中」
読売新聞 2025年4月27日
地主敏樹
(関西大学教授)
「米国経済の意外な特徴暴く」
日本経済新聞 2025年5月3日
中北徹
(東洋大名誉教授)
「権力にすり寄る新産業の実態」
東京新聞・中日新聞 2025年5月10日
酒井正
(法政大学教授・労働経済学)
「進む寡占化、なぜ大いなる逆行」
朝日新聞 2025年5月24日
安達貴教
(京都大学経営管理大学院・大学院経済学研究科教授)
公正取引 2025年5月号(通巻895号)