みすず書房
近刊

技術的対象の存在様態について

DU MODE D’EXISTENCE DES OBJETS TECHNIQUES

判型 四六判
頁数 440頁
定価 7,480円 (本体:6,800円)
ISBN 978-4-622-09762-4
Cコード C1010
発行予定日 2025年5月9日予定
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技術的対象の存在様態について

技術的対象の発生が向かう先(サンス)を理解することで、美的対象や生物のものとは別の存在論的身分を技術的対象に付与しなければならない。そのとき、人間が技術的現実(レアリテ)とむすぶさまざまな関係を、とりわけ教育と教養の観点から研究することが可能となる。だが、人間と世界とのすべての根本的な関係を分析することで、技術性それ自体の発生もまた理解されなければならない――
(2012年版紹介文より)

フランスの哲学者G・シモンドンの主著である本書は、そのきわめて高い独創性によって技術についての哲学的反省を根本から決定的に変えた。技術的現実が提起してきた、そして提起し続けているさまざまな問題に診断を与えている本書は、アクチュアルな思考にとって無視することのできない重要文献となっている。
1958年に初版が刊行されて以来、多数の言語に翻訳され、活発に読解・注釈がなされているフランス技術哲学の古典、待望の邦訳。

目次

序論

第一部 技術的対象の発生と進化
第一章 技術的対象の発生――具体化のプロセス
第一節 抽象的な技術的対象と具体的な技術的対象
第二節 技術的進化の条件
第三節 技術的進歩のリズム――連続的でマイナーな改良、非連続的でメジャーな改良
第四節 技術的系統のさまざまな絶対的起源

第二章 技術的現実(レアリテ)の進化――要素、個体、総体
第一節 技術的進化における過進化と自己条件づけ
第二節 技術的発明――生物および発明的思考における()と形態
第三節 技術的個別化
第四節 進化の連鎖と技術性の保存。緩和の法則
第五節 技術性と技術の進化――技術的進化の手立てとしての技術性
図版

第二部 人間と技術的対象
第一章 人間と技術的所与との二つの根本的な関係様態
第一節 技術の社会的なメジャー性とマイナー性
第二節 子どもに学習される技術と大人に思考される技術
第三節 マイナーな技術とメジャーな技術とに共通する本性。百科全書主義の意義
第四節 技術に到達(アクセス)するメジャーな様態とマイナーな様態とを教育の水準で総合する必要性

第二章 人間と技術的対象の世界との関係において教養のはたす制御的な機能。今日的な問題
第一節 進歩という概念のさまざまな様相
第二節 熱力学やエネルギー論に由来する進歩の概念が提示するような人間と技術的対象との関係についての批判。情報理論を頼りにして
第三節 人間と技術的対象との関係を説明するにあたっての技術論的な情報概念の限界。技術的個体における不確定の余地。自動性
第四節 哲学的思考は技術論を基礎づけることで技術的現実(レアリテ)を普遍的教養へと統合しなければならない

第三部 技術性の本質
第一章 技術性の発生
第一節 生成に適用された位相の概念――思考の位相としての技術性――魔術的、技術的、宗教的、美的
第二節 原初的な魔術的統一における位相のずれ
第三節 技術的思考と宗教的思考の放散

第二章 技術的思考とその他の種類の思考との結びつき
第一節 技術的思考と美的思考
第二節 技術的思考、理論的思考、実践的思考

第三章 技術的思考と哲学的思考

結論

技術用語集
文献一覧
趣意書

訳註
図版キャプション
訳者あとがき
索引