みすず書房

もし人間が一人きりで生きていくことができるなら、哲学を必要とすることはないだろう。他者との関係が生じ、それまでの世界像がゆらぎを経験せざるをえなくなったとき、哲学ははじまる。インド、中国、ヨーロッパ、米国という強大文明の辺境にある日本列島で、世界像のゆらぎは世界最大級だった。そこでうまれる哲学には、中央文明本位に普遍がイデオロギー化することに抗い、普遍に対する新しい考え方を構想する可能性があった。古代から現代まで列島哲学の歴史をたどる初の試み。

目次

はじめに
1 太夫・才蔵モデル
2 孤立性と辺境性
3 「日本人」になるということ
4 記紀の世界像
5 遅れ反応の回路
6 「あはれ」から「無常」へ――「下からの普遍性」の発見
7 日本語の生成へ
8 応仁の乱前後
9 西欧の衝撃と第二の鎖国
10 近世のほころび
11 ユートピア的構想の探求
12 内在と関係の対話
13 つくられた制度と制度をつくるもの
14 追い越さないという選択肢
15 戦時下のせめぎあい
16 戦中と戦後のあいだ
17 イソップ寓話のように
おわりに


あとがき
索引

書評情報

高原到
(批評家)
「誤りを認めてから対話が始まる」
週刊金曜日 2025年10月24日(1541)号
安藤礼二
(批評家)
「創造的な対話へ道を開く」
共同通信社配信(沖縄タイムス、山陰中央新報ほか)2025年11月1日
先崎彰容
(社会構想大学院大学教授)
「大陸との緊張が生んだ思索」
日本経済新聞 2025年11月15日

列島哲学史

大胡高輝
(親鸞仏教センター研究員・倫理学・日本倫理思想史)
「「世界像のゆらぎ」に向き合う努力」
週刊読書人 2025年12/5号