宇宙の広さを知ったサル
心と文化の進化論
THE APE THAT UNDERSTOOD THE UNIVERSE
How the Mind and Culture Evolve

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 568頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-09803-4 |
Cコード | C0040 |
発行予定日 | 2025年9月16日予定 |

THE APE THAT UNDERSTOOD THE UNIVERSE
How the Mind and Culture Evolve
判型 | 四六判 |
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頁数 | 568頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-09803-4 |
Cコード | C0040 |
発行予定日 | 2025年9月16日予定 |
私たちは人間として生きることに慣れている。だから、次のような人がいても違和感はないだろう。恋に熱中する人、子の面倒を見る父母、困っている人を助ける人、音楽やアートを味わう人、ジャンクフードを楽しむ人、避妊する人、などなど。
しかしこれらはどれも、地球を調査してすべての生物の様子を把握した異星人の目には、ほかの動物と比べて大変奇妙に見えるようだ。曰く、配偶のときオス・メスともに選り好みすぎだし、一喜一憂しすぎ。オスが子育てに関与しすぎ。非血縁個体にも親切すぎ。音楽やアート、テレビや井戸端会議など、生存・繁殖に直接役立たない活動に時間を割きすぎ。不摂生や避妊で生存・繁殖をなぜか自ら阻害する、などなど。
言われてみればたしかにおかしな気がするこれらの指摘から、一つ疑問が浮かぶ。なぜヒトは、こんな生き物なのか?
この問いには、進化心理学と文化進化理論(ミーム学)という二つの学問領域が答えてくれる。進化の論理で眺めれば、性差、配偶行動と子育て、利他性の形成過程、さらにヒト特有の「文化」のありようとその変遷を理解できる。心と文化が進化して、私たちはこうなったのだ。本書はその核心を遊び心たっぷりの筆致で伝える、進化心理学とミーム学の決定版的入門書である。
巻末に、「「空白の石板」説支持者に議論で勝つ方法」「反ミーム学論者に議論で勝つ方法」の二篇を付録として収録。
序文――認知創造論と人間の本性に関する現実的な展望 マイケル・シャーマー
謝辞
1 異星人の挑戦
地球人についての調査報告/異星人の疑問に答える
2 ダーウィン、心に挑む
人類は、とんでもない変わり者/史上もっとも偉大なアイデア/人はなんのために存在するのか/ダーウィンのセクシーなアイデア/「包括適応度」革命/遺伝子目線/すべては群れのために?/進化する心/踏み込んで考える/恋愛脳/エデンからの追放/水から出た魚/「三角小間」
3 SeXX/XY(セクシー)な動物
学術的文化闘争/性差の進化/人間はクジャクかあるいはペンギンか/カジュアルにいこう/カジュアル・セックスに関する性差を説明する/見た目の良さ/富とステータスへの欲求/肉体に勝る精神/暴力の歴史/母親と他人/真実の敵
4 恋をし、つがい、子どもを作る動物
命のベルトコンベア/美者生存/いとこにキスする/恋と、恋がもたらす不幸/嫉妬/夫、妻、赤ちゃん/シンデレラの真実/子育て投資の利益を最大化する/結論を出す前に/人間の自然な配偶システムとは?
5 利他的な動物
利他性の問題/水よりも濃し/家族ほど大事なものはない/「持ちつ持たれつ」関係の進化/取引をする動物/クジャクの尾羽としての利他行動/集団志向の動物/利他性の正体は利己性なのか
6 文化的な動物
郵便箱に届くウイルス/生物を超える選択/ラチェット効果/適応的文化/文化的集団選択/利己的なミーム/生活のミーム化/ミームの生態系としての人間の心/ミームの適応とミーム機械/遺伝子とミームの共進化1――身体の形成/遺伝子とミームの共進化2――心の形成/最弱者の生存?/未来は未知である
付録A 「空白の石板」説支持者に議論で勝つ方法
付録B 反ミーム学論者に議論で勝つ方法
索引/原注/参考文献
(WEBみすずサイト「新刊紹介」)