みすず書房
近刊

そして、心は陸に上がった

行動・意識の進化と世界の形成

判型 四六判
頁数 340頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-09887-4
Cコード C0045
発行予定日 2026年11月16日予定
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そして、心は陸に上がった

鋭敏なナチュラリストのまなざしと今日的な生物哲学を融合させた傑作エッセイ『タコの心身問題』『メタゾアの心身問題』に連なる、待望の第三作。
人間がいま自然に対しておこなっている破壊的営みの起源は、生物進化の本質そのものだ。生命は原初から、たんに与えられた環境に適応するだけでなく、つねに環境に作用して環境を変える工作者でもあった。本作はこの逆説をとことん掘り下げ、人類の選択肢を考えるシリーズ完結編である。
著者はまず、「行動(action)」とは何か、「コミュニケーション」とは何かといった根本から問い直しながら、行動/エンジニアリングの側面から見た生命史を素描して見せる。とりわけ動物は、陸に上がって以降、水中とは特性の異なる空間での知覚やコミュニケーションを通じて「心」のあり方を拡張してきた。その拡張の先で人間の意識や文化も生まれた。この歴史をたどり直すなかで、読者はすばらしき動物たちと出会い、また、さまざまな研究者によるラディカルな思索の淵を覗き込むだろう。
心の進化の「漸進説」を唱える著者にとって、人類の選択をめぐる本書終盤の探究は避けがたいものだ。動物の心の存在に目をつむっておこなわれてきた動物実験や工場式畜産に関して、著者がどんなのっぴきならない結論に至るか、注視してほしい。

目次

1 シャーク湾
ドライビング
この本

変形 TRANSFORMATION

2 生命を得た地球
時間と空間
起源
循環と埋没
形態のサーカス
ガイア仮説
目的

3 森
巨大な丘すべてが小さな水たまりの胃に
樹皮の宮殿、植物
行動の諸形態
陸と海
もうひとつの散策
翼

4 オルフェウス
リズム
鳥の生活、コミュニケーション
ディスプレイと評価
歌
あずまや
下生えのオルフェウス

私たちは何者か WHO WE ARE

5 人間
べつの森
文化
コミュニケーションふたたび
建設、しきたり、想像
書き言葉と時間
なぜ私たちか

6 意識
経験と動物の生活
人間の心
ハイパースキャン
兄弟たち

地球に生きる LIVING ON EARTH

7 ほかの生命
倫理的判断
食料と畜産
実験動物

8 野生の自然
自然と自然なもの
生息地の保護と気候変動
いくつかの選択肢
私たちの代わりに

9 海山
マンタ
振りかえって
生命と心
ガラスのトンネルから開かれた空気へ
終わりと始まり

謝辞

《解説》生命は何をしてきたのか──上陸、あるいは原因の側に立つこと(吉川浩満)

原注
索引