みすず書房

■A5変型判カバー装
■平均350ページ

バルトの独特な明るさはどこから来ていたのか。それはどこから彼のもとに来ていたのか。というのは、彼もまたそれを受けとっていたはずなのだから。何事も単純化せず、襞にも余白にも乱暴をはたらくことなく光はいつもひろがりだしていた。
――ジャック・デリダ

  • 2002年秋にフランスで刊行された新版『ロラン・バルト全集』を底本とした決定版
  • 単行本未収録の論文・対談など「バルトが出版したものすべて」を編年順に収める
  • 全巻監修は石川美子(明治学院大学教授)。各巻は、気鋭の研究者による清新な翻訳により、バルト世界の理解をたすける精密な註を付す
  • 読者の期待に応える、読みやすい本文、堅牢ながら親しみやすい造本

ロラン・バルト(Roland Barthes)

1915-1980。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。 1975年に彼自身が分類した段階によれば、(1)サルトル、マルクス、ブレヒトの読解をつうじて生まれた演劇論、『現代社会の神話』(2)ソシュールの読解をつうじて生まれた『記号学の原理』『モードの体系』(3)ソレルス、クリステヴァ、デリダ、ラカンの読解をつうじて生まれた『S/Z』『サド、フーリエ、ロヨラ』『記号の国』(4)ニーチェの読解をつうじて生まれた『テクストの楽しみ「』『ロラン・バルトによるロラン・バルト』などの著作がある。そして『恋愛のディスクール・断章』『明るい部屋』を出版したが、その直後、1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった。没後も、全集や講義ノート、日記などの刊行が相次いでいる。バルトの単行本はすべて、みすず書房から刊行される。