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仁科芳雄往復書簡集

現代物理学の開拓[全3巻・補巻1]

中根良平・仁科雄一郎・仁科浩二郎・矢崎裕二・江沢洋 編
協力 財団法人 仁科記念財団


仁科芳雄の業績に新たな光を当て、日本における現代物理学の基盤がいかに築かれたかをつぶさに伝える。仁科に連なり国内外で戦前~戦後に活躍した幾多の物理学者たちの足跡が、書簡という一次資料を通して浮かび上がる。科学と歴史研究の未来へ向け刊行する、昭和の物理学者たちの遺産。

 仁科芳雄は、日本の現代物理学がほとんどゼロからスタートした昭和初期に最大の駆動力となった科学者である。彼がコペンハーゲンに留学したのは量子力学への物理学革命の真最中であった。彼も戦列に参加し原子核物理学で基本的なクライン-仁科の公式を導いた。彼は、その業績に加えて師弟間の自由な討論とそれがもたらすチームの力の自覚(コペンハーゲン精神)を日本に伝え、宇宙線と原子核に向かって急激に発展する世界の物理学に追いつくべく力をつくした。しかし戦争がはじまり、彼は国家百年の計には基礎科学が重要だと説きつつ、国策に従い原爆研究にも手を染めた。戦後は日本の科学と技術の再建にすべてを捧げた。その間、世界の友人たちと交換した書簡が千通あまり。その中には湯川秀樹が存在を予言した中間子の発見を告げる書簡や湯川の感謝の返書もある。仁科らがサイクロトロンを用いて挙げた原子核の研究成果を賞賛する米国の物理学者たちの声もある。
 これらの書簡に関連する資料を添えて刊行。資料のなかには空襲下にサイクロトロンを守る科学者の日記もある。本書は人々の喜びと悲しみを包んで日本の科学の人間史を語る。仁科の功績を讃えて創立された仁科記念財団の50周年の機会におくる。
2006年9月

全巻構成

第 I 巻 コペンハーゲン時代と理化学研究所・初期 1919-1935
N・ボーア門下の偉才たちに混じり、仁科が物理学の新開拓分野で業績をあげた時期。ここで仁科が築いた世界的な物理学者たちを含む人脈が、のちに日本の現代物理学の発展にとっての生命線となる。

第 II 巻 宇宙線・小サイクロトロン・中間子 1936-1939
サイクロトロン建設の経緯、湯川秀樹の中間子論が生まれる過程などが読み取れる。ほかに朝永振一郎、坂田昌一など、精鋭のそろった日本の物理学の目覚しい成長の時期を、生き生きと伝える資料。

第 III 巻 大サイクロトロン・二号研究・戦後の再出発 1940-1951
戦中の研究活動を伝える貴重な資料。特に、これまで憶測で語られることの多かった理化学研究所の「二」号(原爆)研究についても一次資料を収録。敗戦と同時に日本のサイクロトロンはGHQの命により破壊される。科学研究の戦後復興の様子も読み取れる。
付録 解説/仁科芳雄関連年譜/参考文献/書簡・文書執筆者リスト/事項索引/人名索引
そのほか巻末に、前付 凡例・目次/後付 翻訳分担・編者略歴

補巻 現代物理学の開拓 1925-1993
シュレディンガーやパウリの講義を聞いた仁科の1920年代のノート、ディラック宛ての書簡にはじまり、宇宙線の研究、対称核分裂、そして「大サイクロトロン日誌」などサイクロトロン建設をめぐる一連の書簡・文書。とりわけ、日本の原爆研究の一端をしるす仁科芳雄・矢崎為一「核分裂によるエネルギーの利用」(1943)や、「トルーマン声明」など広島・長崎への原爆投下と敗戦前後の「敵性情報」に関する文書、1945年8月9日から1946年3月にいたる「仁科芳雄のノート」などがこの補巻を特徴づける。


[おもな書簡執筆者リスト]
青山新一/荒勝文策/飯盛里安/池田芳郎/石井千尋/石原 純/梅田 魁/大河内正敏/岡田武松/落合騏一郎/掛谷宗一/片山正夫/亀山直人 /茅 誠司/菊池正士/木村健二郎/木村正路/桑木彧雄/小林 稔/坂田昌一/嵯峨根遼吉/佐藤重平/篠遠喜人/篠原健一/清水武雄/杉浦義勝/杉本朝雄/関口鯉吉/関戸弥太郎/高嶺俊夫/竹内 柾/田島英三/玉木英彦/玉城嘉十郎 /田宮 博/寺沢寛一/寺田寅彦/朝永三十郎/朝永振一郎/中泉正徳/長岡半太郎/中川重雄/中根良平/中村 浩/中谷宇吉郎/中山弘美/西川正治/仁科芳雄/野上茂吉郎/萩原雄祐/東 健一/藤岡由夫/藤原武夫/堀内寿郎/堀 健夫/本多光太郎/真島正市/増田時男/三木 清/水島三一郎/三村剛昂/宮崎友喜雄/宮島龍興/武藤俊之助/森脇大五郎/八木秀次/矢崎為一/山崎文男/山下英男/湯川スミ/湯川秀樹/横田喜三郎/横山スミ/吉野源三郎/Blackett, P. M. S./Bohr, Niels/Compton, Karl T./Dennison, David M. /Dirac, P. A. M./Fermi, Enrico/Fleury, P,/Fox, Gerald W./Gamow, George/Geiger, Hans/Gouldsmit, Samuel A./Heisenberg, Werner/Heitler, Walter/Hevesy, George de/Hund, Friedrich/Jacobsen, J.C./Kelly, Harry C./Klein, Oskar /Kramers, Hendrik A./Kronig, Ralph de Laer/Langmuir, Irving/Lawrence, Ernest O./Meitner, Lise/M?ller, Ernst A. W./Neher, Henry V./Pauli, Wolfgang/Pauling, Linus C./Rabi, Isidor I./Regener, E./Schr?dinger, Erwin/Schultz, Betty/Siegbahn, Karl M./Skobelzyn, D.V./Slater, John C./Stueckelberg, E. C. G./Teller, Edward/Urey, Harold C./Waller, Ivar/Weizsacker, C.F. von

■計1400余りの文書を収録。その多くは最近になって発見された未発表の和文書簡である。さらに欧文書簡・文書の未発表の邦訳を加え、大半が初の公刊となる。
■「日本の現代物理学の父」とも評される仁科芳雄へ宛てた書簡群の執筆者には、湯川秀樹、朝永振一郎、長岡半太郎、ボーア、ハイゼンベルク、ディラックらをはじめ、国内・国外を問わず歴史にその名の残る科学者たちが並び、彼らの研究活動を知るうえで必備の文献となる。
■各文書とそれが書かれた時代や背景事情の流れの対応を読み取れるよう、すべての文書を年月日順で掲載した。また、書簡が示す内容を補完する公文書、個人の日誌等も必要に応じて収録。

■書簡ごとに、関連の科学的あるいは科学史的事実を解説し、専門的な分析や補足を加えた注釈を付記する
■第 III 巻の巻末には、仁科芳雄関連年譜・解説・書簡執筆者リスト・事項索引・人名索引を付す
■全3巻刊行後に発見された書簡・文書・資料など490点を、補巻に収録



仁科芳雄往復書簡集