みすず書房

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ピーター・グラルニック『エルヴィス伝』

復活後の軌跡 1958-1977[三井徹訳]

エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley) 1935年1月8日生、1977年8月16日没。

著者グラルニックは、神話、伝説ではない一人間としてのエルヴィスを描ききる。ボブ・ディラン、ビートルズに先立つポピュラー音楽界の重鎮であった人物を活写し、秀逸な伝記を完成させたのである。 伝記全二冊の前巻は『メンフィス行き最終列車』(原書1994年刊、邦訳は『エルヴィス登場!!』ユーリーグ刊、1997)。伝記後半にあたる本書の原書は、1999年1月8日(エルヴィスの生誕日)に刊行された。

「23歳の一兵卒としてのドイツでの生活、除隊して帰郷する情景にはじまり、その後のエルヴィスの数々の映画出演、空手への没頭、心霊研究、アンフェタミンに始まる薬漬けの生活、多数の女性とのつきあい、プリシラとの結婚、「メンフィス・マフィア」と呼ばれた取り巻きたちとの交友、マネジャーである「パーカー大佐」との二人三脚、1968年の画期的TV特別番組の制作の詳細、ラス・ヴェガス初演の意気揚々たる様子等々をグラルニックは、11年に及ぶ膨大な数の関係者とのインタビュー、および新聞雑誌の記事などに基づく丹念な調査をもとに、率直に、淡々と語っていく。そして、その語りの随所で引用される映画産業関係者、音楽産業関係者、取り巻きたち、数々の女性たちなどの生の言葉が、読む者を圧倒し、語りを活気づけ、かつ信憑性を裏打ちする。また、その合間に事業企画、契約、出演料、印税など事務上の詳細がつぶさに説明されていくことにも舌を巻く。」
「読者の皆さんが、この伝記に多くを読みとっていくことは間違いない。著者は、事実を示すことに腐心し、事実にすべてを語らせようと努め、批判、判断、概括、結論などのすべてを暗黙のうちに読者に委ねている。」
(三井徹「訳者あとがき」より)

没後30年にあたる2007年中になんとか出版にこぎつけた本訳書によって、エルヴィスの真実への認識、再評価がなされることを心より願っている。

原書カバー



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