みすず書房

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『フロム・ヘル』

作=アラン・ムーア 画=エディ・キャンベル 翻訳=柳下毅一郎 [上・下]

『フロム・ヘル』ついに刊行
[2009年10月]

『ウォッチメン』でアメリカン・コミックのジャンル全体を変えた鬼才アラン・ムーアが、アメリカン・コミックの枠からも外れたインディペンデントな作品として世に放った最高傑作! 『フロム・ヘル』がとうとう日本語版刊行の日を迎えました。

『フロム・ヘル』[全2巻]特設サイト

特設サイトでは、トレイラームービーなど本書の魅力に迫るコンテンツをご紹介。
http://fromhell.msz.co.jp

『フロム・ヘル』 上・下

作 = アラン・ムーア 画 = エディ・キャンベル 翻訳 = 柳下毅一郎
B5判並製カバー装 2009年10月10日刊行 みすず書房
[上]288頁/予価 2730円(税込)/ISBN978-4-622-07491-5
[下]312頁/予価 2730円(税込)/ISBN978-4-622-07492-2

一つの時代と社会の象徴として描かれる、連続猟奇殺人――
その情景に透けて見える歴史の構造への畏怖、そして眩暈

  • ◆アラン・ムーアの本領たるダイナミックな構成力と想像力、奥行きのある世界観が遺憾なく発揮された傑作にして怪作。1888年にロンドンで起きた切り裂きジャックの連続殺人事件を精密になぞり、ノンフィクション・ノベルに奇想をハイブリッドした異例の形式を採用している。
  • ◆アラン・ムーア自身が自作のなかで最も完成度の高い一作と自負し、マンガとも小説とも異なるグラフィック・ノベルの読みごこちを堪能できる点で、極めつきなのが本作だ。
  • ◆各コマの細部に込められた意味とニュアンスを読み解き、周到に埋め込まれた伏線、隠し部屋のようなサイド・ストーリーを味わい尽くしながら、完成された物語世界に浸りたい。 読み終わるすべての読者が、必ずカタルシスを味わうだろう。
  • ◆本作が再現を試みているのは、新世紀に蹴破られる寸前の腐りきった扉、ヴィクトリア朝末期の社会全体の縮図。スラム街の娼婦から女王まで、すべての階層に腐敗と不安が充満するロンドンの陰惨な情景が、読む者の目に焼きつけられる。
  • ◆著者による註釈と、切り裂きジャック伝説の連鎖をテーマにした短編を巻末に付録。これらも本作の“謎解き”には欠かせない。
作 = アラン・ムーア(Alan Moore)

1953年、イギリスのノーサンプトンに生まれる。コミック原作者として本作『フロム・ヘル』や『ウォッチメン』(邦訳:角川書店、1998、小学館集英社プロダクション、2009)、『Vフォー・ヴェンデッタ』(邦訳:小学館プロダクション、2006)、『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』(邦訳:ジャイブ、2004)、『トップ10』(邦訳:ヴィレッジブックス、2009)、The Swamp Thing (1971), Lost Girls (2006) など強烈な個性を放つ作品群を世に送り出し(本作も含め四作品はハリウッドで映画化もされている)、多くのコミック作家や他分野のクリエイターたちに影響を与えている。『ウォッチメン』は1980年代のアメリカン・コミック/グラフィック・ノベルの記念碑的作品となり、ヒューゴー賞(コミック作品が受賞した初の例)を受賞するなど、彼の作品はコミックの枠を越えて高い評価を受けている。オカルティスト/アーティスト集団The Moon and Serpent Grand Egyptian Theatre of Marvelsを率いてパフォーマンス・アーティストとして活動する、「芸術=魔術」の唱道者でもある。

画 = エディ・キャンベル(Eddie Campbell)

1955年、スコットランド生まれのコミック作家。オーストラリア在住。ほかの作品にBacchusシリーズ、半自伝的作品Alec: How to Be an Artistなどがある。最新作はThe Black Diamond Detective Agency (First Second Books, 2007)。

翻訳 = 柳下毅一郎(やなした・きいちろう)

英米文学翻訳家・映画評論家。1963年生まれ。出版社勤務ののち、映画評論家に。訳書に、J・G・バラード『クラッシュ』(東京創元社)、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)、ジョン・スラデック『蒸気駆動の少年』(河出書房新社)、フランク・ミラー『ダークナイト・リターンズ』(小学館プロダクション)など。著書に『興行師たちの映画史』(青土社)など。編書に『女優林由美香』(洋泉社)など。多摩美術大学非常勤講師。




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