分裂病の少女デボラの世界

I NEVER PROMISED YOU A ROSE GARDEN

著者: ハナ・グリーン

訳者: 佐伯わか子

訳者: 笠原嘉

判型	四六判
頁数	376頁
定価	3,630円（本体：3,300円）
ISBN	978-4-622-02343-2
Cコード	C1047
発行日	1971年10月15日
備考	現在品切

心理・精神医学精神医学

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狂気の世界の魅力と不思議さが、これほど明晰に、美しく描かれたことはなかったであろう。16歳の少女の、三年間にわたる精神病院での生活と、狂気から現実への旅路をえがくこの小説は、アメリカのすぐれた精神科医フリーダ・フロム＝ライヒマンの面影をつたえているといわれる。

狂気を語る小説は数多いが、分裂病という難病について、現代の精神病理学がもっている知見をこれほど正確に十分にふまえて書かれた小説は他に類をみない。一つの生命のきびしい闘いの勇気にみちた物語は、無限の悲哀とかずかずの恐怖をテーマに含みながらも、その読後感は、さわやかに人を勇気づけるであろう。

著訳者略歴

＊ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ハナ・グリーン

Green Hannah

1932年ニューヨークのブルックリンに生まれる。本名Joanne Greenberg。12歳の頃より作家をこころざす。ワシントンのアメリカ大学卒業。現在コロラド州に在住。著書 The King’s Persons,1963. The Monday Voices,1965. Summering,1966.『手のことば』（佐伯・笠原訳、みすず書房、1974）。

佐伯わか子

さえき・わかこ

1910年に生れる。聖心学院英文科卒業。元英知大学英文科教授。訳書ダッドレイ『アルプスの夕陽』ボイラン『すさまじき愛』（中央出版社、1950、1962）ハナ・グリーン『手のことば』（共訳、1974）ラッセル『天使をこの手に』（1975、以上みすず書房）。

笠原嘉

かさはら・よみし

1928年神戸に生れる。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。現在名古屋大学名誉教授。著書『精神科医のノート』（みすず書房、1976）『青年期』（中公新書、1977）『ユキの日記』（みすず書房、1978）『不安の病理』（岩波新書、1981）『精神病と神経症』（みすず書房、1984）『アパシー・シンドローム』（岩波書店、1984）『退却神経症』（講談社現代新書、1988）『外来精神医学から』（みすず書房、1991）『軽症うつ病』（講談社現代新書、1996）『新・精神科医のノート』（みすず書房、1997）。編著『青年の精神病理』（弘文堂、1976）『精神の科学』（岩波講座、1983）『異常心理学講座』（みすず書房、1987）訳書ボス『精神分析と現存在分析論』（1962）ハナ・グリーン『手のことば』（1974）レイン『ひき裂かれた自己』（1971）『狂気と家族』（1972）サルズマン『強迫パーソナリティ』（1985）サールズ『ノンヒューマン環境論』（1988）コフート『自己の分析』（1994）『自己の治癒』『自己の修復』（1995）（共訳、以上みすず書房）など。