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認識問題 1

近代の哲学と科学における

DAS ERKENNTNISPROBLEM

IN DER PHILOSOPHIE UND WISSENSCHAFT DER NEUEREN ZEIT


ルネサンスに始まり、スピノザ、ライプニッツ、啓蒙の時代、ニュートン、ヘーゲル、さらには非ユークリッド幾何学とダーウィニズムの成立をへて、アインシュタインまで、ヨーロッパ近代全体の思想と科学の展開を辿ろうとする『認識問題』全4巻は、その壮大かつ詳細きわまる試みによって、20世紀思想史上に屹立している。それは、ドイツの碩学カッシーラーの、まさしくライフワークであった。
 
その劈頭を飾る第1巻である本書は、ニコラウス・クザヌスについての考察から始まる。第一部「認識問題のルネサンス」では、フィチーノ、ヴァラ、ビベス、ニゾリウス等に近代的認識の萌芽を探り、モンテーニュの懐疑主義まで、第二部「自然概念の発見」ではパラケルスス、ブルーノ、レオナルド・ダ・ヴィンチから、ケプラー、ギルバート、ガリレイに近代物理学の誕生を追い、第三部「観念論の基礎づけ」では、デカルトと、それ以降のパスカル、マールブランシュ、ベールを論じる。


目次


初版への序文
第二版への序文

序論
認識とその対象/根本概念の体系とその変転/認識過程の心理学的分析と歴史的分析/認識概念と認識理論/精密科学と認識問題との関係/形而上学との関係/「超越論的方法」と歴史/アプリオリなものとその歴史


 第一部 認識問題のルネサンス

第一章 ニコラウス・クザヌス
第1節
神と世界/内在への前進/認識手段としての「知ある無知」/「推測」の概念
第2節
知性と感覚/プラトンのイデア論との関係/精神と事物の「類似」/知覚過程の分析/数学という模範/量と質/「無限小」の問題/実体の概念
第3節
数学の象徴的使用/数学と矛盾律の関係/抽象による概念と構成による概念/数学的演繹と形而上学的演繹
第4節
思考の対象と機能/価値の概念/確実性の原理としての問い/真理概念
カロルス・ボヴィルス
弁証法と自然哲学/「形相」概念と「形象(species)」の理論/知性と記憶力/アリストテレスの実体概念における矛盾/大宇宙と小宇宙

第二章 人文主義ーープラトン哲学とアリストテレス哲学の闘い
ルネサンスの文化/哲学との関係/実体的形相批判/個人の問題/自我概念と自然概念/「世界」の調和と「魂」の調和
第1節 プラトン哲学の更新
ゲオルギオス・ゲミストス・プレトン
ロゴスの教え/イデア論と神学
マルシリオ・フィチーノ
哲学と宗教/精神的存在の諸段階/魂の概念と認識の概念/思惟の自己活動性/概念の機能/自我概念と神概念/美的調和の概念
第2節 アリストテレス霊魂論の改革
アリストテレスの学説の批判的更新/近代の意識概念への移行/アリストテレスの「能動知性」の学説/アヴェロエス主義
ピエトロ・ポンポナッツィ
魂と身体の相関関係/魂の一性/認識の素材と形相/普遍と特殊/倫理学の基礎づけ
ジャコモ・ザバレッラ
「形成する形相」と「補助する形相」/知覚と判断機能
第3節 スコラ哲学的論理学の解体
ロレンツォ・ヴァッラ
フアン・ルイス・ビベス
『偽弁証法家論駁』/存在論批判/認識の原理の正当化
ペトルス・ラムス
論理学と数学/「自然的弁証法」/「数学的自然科学」的ルネサンスへの移行
ジャコモ・ザバレッラ
合成的方法と分解的方法/帰納法の論理学/遡及的方法と循環論証/概念分析と因果認識
フランチュスコ・ピコ・デッラ・ミランドラ
認識の形相と質料/実体概念批判/代理の問題
マリウス・ニゾリウス
普遍概念批判
第4節 自然観と歴史観の更新
自然学と精神科学の関係/ジョヴァンニ・ピコの著作『占星術論駁』/原因と徴候/意志の自由の問題/自然意識と自己意識/歴史哲学/歴史と啓示/歴史と心理学の関係/哲学史の開始/普遍宗教の理念/ロゴスの教え

第三章 懐疑主義
近代懐疑主義の特質
第1節 モンテーニュ
目的概念と自然概念/汎神論への懐疑的批判/認識の主観的制約/懐疑の倫理的意義/道徳的規範概念としての自然/教育学の新たな基礎づけ/心理学と美学/自我概念と自然概念/宗教への人類学的批判
第2節 モンテーニュとアグリッパ・フォン・ネッテスハイム
第3節 シャロン
宗教的倫理学への批判/懐疑とプロテスタンティズム
第4節 サンチェシュとラ・モト・ル・ヴァイエ
懐疑的批判の限界


 第二部 自然概念の発見

第一章 自然哲学
第1節 世界有機体という概念
アグリッパ・フォン・ネッテスハイム
力学的自然観/「自然魔術」という概念/存在と意識/可能態概念の批判/実体の定義/運動と「不動の動者」
パラケルスス
小宇宙の概念/「明瞭なもの」と「不明瞭なもの」/二重の経験概念
第2節 認識の心理学
I ジロラモ・フラカストロ
形質の理論/一般概念の問題/心的活動という概念
II テレジオ
知覚の理論/知性と記憶/近代の感覚主義との関係/精神と認識の物象化
III カンパネッラ
自我の事物への変化/運動と思考/認識の懐疑主義的批判/概念の外延と内包/自己意識の問題/自我の直観的認識と反省的認識/知覚と判断作用/カンパネッラの認識論における合理主義/数学にたいする態度
第3節 空間と時間の諸概念――数学
カルダーノ、スカリゲル、テレジオにおける空間と時間
空間概念と物体概念
パトリッツィ
空間とカテゴリー体系/空間の形而上学的位置/数と連続体/微分概念の端緒/無限なものの概念
第4節 コペルニクス的世界体系と形而上学――ジョルダーノ・ブルーノ
コペルニクスとその学説/世界概念の数学的契機と美的契機/精神諸科学との関係における天文学の世界観/自然概念と啓示概念
ジョルダーノ・ブルーノ
世界霊魂の概念/無限なものの概念/ブルーノの認識論の形而上学的基礎/美の理念/理念と現象/感性界と英知界/抽象と分析/統一性と多様性/物質〔質料〕と形相/実体の概念/自然と法則/極小の概念/事物の尺度としての極小/個別的諸形態の成立/極小と限界/極小論の批判/連続性と数/ブルーノの方法論における数学の位置

第二章 精密科学の成立
概念と経験
第1節 レオナルド・ダ・ヴィンチ
数学的確実性/数学と魔術/経験と「理性的根拠」/「想像力」の論理学的意味
第2節 ケプラー
(a) 調和という概念
精神の産物としての調和/感性的調和と知性的調和/知覚の理論/プラトンのイデア論との関係/ケプラーの光学における知覚問題/仮説の概念/天文学的仮説と物理的仮説/天文学の仮説の実在論的意味と観念論的意味/計算の基礎としての仮説/数学的自然観と神秘主義的自然観/存在論的形相概念と数学的形相〔形式〕概念
(b) 力の概念
力の概念と霊魂の概念/力の概念と関数概念/力の算術
ウィリアム・ギルバート
磁力の理論/ギルバートとケプラーの重力の理論/質量概念の発見/物質の「慣性」
c 法則の概念
数概念の空間概念にたいする関係/一様でないものの法則性/自然法則の恒常性/存在の根拠と生成の法則
第3節 ガリレイ
ケプラーとガリレイの往復書簡/三段論法にたいする闘い/抽象と経験/概念と現実/純粋数学と応用数学/物質の概念/古代原子論との関係/感性的質の主観性/物質の保存/純粋数学の対象としての運動/慣性法則/量的自然観と質的自然観/存在と生成/実体的認識と現象的認識/知識の外延的尺度と内包的尺度/認識の相対性/合成的方法と分解的方法/現象とその真理/理念のアプリオリと目的のアプリオリ/法則の概念と調和の概念/ガリレイの科学の哲学的意味
第4節 数学
数学と物理学の相互作用/無限なものの概念/無限な総体の「同等」と「不等」/連続体とその要素/「分割不可能なもの」と幾何学の更新/タンジェント問題と解析幾何学の端緒/射影幾何学/文字による計算〔代数学〕と対数/負数と虚数


 第三部 観念論の基礎づけ

第一章 デカルト
必然性の問題
第1節 認識の統一
認識の統一/方法論と形而上学/普遍数学/三段論法の批判/分析的方法の哲学的意義/解析幾何学の基礎づけ/共通の量基準としての延長/空間概念と量概念/物理学の基礎づけ/「生得」観念としての延長/実体の概念/静力学の根本問題/運動の相対性/運動の保持/経験の問題/帰納法の諸前提/帰納法と枚挙法/「現実的な」世界と「可能的な」世界/物理学の諸仮説/ガリレイへの関係/デカルトの物理学の基礎と拡張
第2節 形而上学
純粋な知性という概念/対象の分析/自己意識の問題/対象と判断作用/神という概念/絶対的知性と有限な知性/神と「永遠の真理」/無限なものという概念/「生得観念」/精神と身体の連関/デカルト哲学の限界

第二章 デカルト哲学の発展
明晰判明知という基準/デカルト主義とアウグスティヌス主義
第1節 パスカル
合理的認識の理念/幾何学の方法/無限なものの問題/思惟の尊厳/倫理の問題/原罪の秘義/ジャンセニズム/神の概念と真理の概念/意志と知性/モンテーニュへの関係
第2節 論理学とカテゴリー論
クラウベルクの『新旧論理学』と『ポール・ロワイヤル論理学』
論理学の、心理学への関係
ピエール・シルヴァン・レジス
「永遠の真理」の基体
ゲーリンクス
知性の批判/形而上学を構成するアレゴリー的要素/形而上学の独断論/精神的機能の事物化/カテゴリーとしての物概念/形而上学的心身二元論
リチャード・バーソッグ
絶対的なものと概念の体系/実体のカテゴリー/物質と思惟/因果概念
第3節 観念論――マールブランシュ
近代心理学の端緒/「自己認識」という問題/「絶対的物質」の廃棄/力概念の批判/関係という根本概念/力概念と法則概念/心理学的観念論/存在論的証明の批判/観念と知覚/無限の観念と数学/「叡知的延長」という概念/永遠の真理の問題/観念理論にたいするアルノーの異議/表象とその対象/永遠の真理の無制約性/客観的理性法則としての観念
第4節 デカルト哲学の出口――ベール
ベールとモンテーニュ/精神科学の問題/理性と啓示/無限をめぐるアンチノミー/論理的根本真理の否定/ベールの懐疑の倫理的目標/ベールの懐疑の心理学的動機/ベールの批判の限界

訳者あとがき
『認識問題』全巻目次
人名索引


著訳者略歴

エルンスト・カッシーラー
Ernst Cassirer

ドイツの哲学者。1874年旧ドイツ領ブレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
須田朗
すだ・あきら

1947年千葉県生まれ。東北大学大学院哲学専攻修了。弘前大学助教授を経て、現在 中央大学文学部教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
宮武昭
みやたけ・あきら

1949年北海道生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程中退。現在 中央大学文学部教授。論文「ヒュームの懐疑主義と自然主義」(「中央大学文学部紀要」1998)ほか。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
村岡晋一
むらおか・しんいち

1952年熊本県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在中央大学理工学部教授。著書『対話の哲学』(講談社)。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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認識問題 1

「認識問題 1」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/592頁
定価 9,504円(本体8,800円)
ISBN 978-4-622-03191-8 C3010
2010年5月10日発行

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