みすず書房

文化と帝国主義 1

CULTURE AND IMPERIALISM

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 400頁
定価 5,390円 (本体:4,900円)
ISBN 978-4-622-03197-0
Cコード C1010
発行日 1998年12月18日
備考 現在品切
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文化と帝国主義 1

「本書は、過去と未来について、また、これまでさまざまな、たいていは敵対関係にある別個の陣営から〈われわれ〉と〈彼ら〉として区別されてきたものについて、考えようとしている。

本書が属する歴史的段階は、アメリカ合衆国が最後の超大国としてその姿を確実なものとした、いうなれば冷戦以後の歴史的一時期である。このような時期に、アメリカで暮らすことは、アラブ世界に出自をもつ教育者にして知識人であるわたしのような者にとって、いくつもの個別的な思い入れをともなうものである。そのすべてが、『オリエンタリズム』執筆以後にわたしが書いてきたものに影響をあたえたと同時に、そのすべてが本書にたたみこまれている」

19世紀と20世紀を通して破竹の勢いで進展してきた帝国主義。イギリスやフランスをはじめとした西洋諸国は、世界地図のアジアやアフリカの部分を「われら」の土地として塗りつぶしていった。宗主国の国民は、また植民地化された「原住民」は、それぞれこの事態をどう捕らえていたのだろう。そして文化は、帝国主義とどのような関係にあるのか。

ここで文化とは、国家による文化政策とかプロパガンダ文学の類いではない。ルカーチによれば「近代」の形式である小説、それもその最高の芸術的成果が帝国主義とどう絡み合ってくるのか。

サイードは、歴史意識を前提としつつも、文学の地政学ともいうべき方法論を駆使して、両者の関係を考察する。

コンラッドの『闇の奥』、J・オースティンの『マンスフィールド・パーク』キプリングの『キム』、カミュの『異邦人』、さらにヴェルディのオペラ『アイーダ』が、インドやアフリカやジャマイカやアルジェリアやエジプトという土地とともに分析され、いっぽうでファノンをはじめ抵抗の物語と連結される。

帝国主義の歴史とともに育まれてきた「比較文学」という分野から誕生したこの逆説的作品は、ポストコロニアル批評のバイブルになった。全2冊。

目次

はじめに

第一章  重なりあう領土、からまりあう歴史
1 帝国、地理、文化
2 過去のイメージ、純粋なものと混淆的なもの
3 ふたつのヴィジョン——『闇の奥』における
4 乖離する経験
5 帝国を世俗的解釈とむすびつける

第二章  強化されたヴィジョン
1 物語と社会空間
2 ジェイン・オースティンと帝国
3 帝国の文化的統合
4 帝国の作用——ヴェルディの《アイーダ》
5 帝国主義の楽しみ
6 統禦される原住民
7 カミュとフランス帝国体験
8 モダニズムについての覚書

訳注
原注
人名解説