みすず書房

ラーエル・ファルンハーゲン【新版】

ドイツ・ロマン派のあるユダヤ女性の伝記

RAHEL VARNHAGEN

Lebensgeschichte einer deutschen Jüdin aus der Romantik

判型 四六判
頁数 496頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-08991-9
Cコード C3022
発行日 2021年5月17日
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ラーエル・ファルンハーゲン【新版】

「わたしの生涯のかくも長いあいだの最大の恥辱、もっともにがい苦しみと不幸であったこと、ユダヤ女に生まれついたことを、いまのわたしはけっして手放したくありません」(第一章冒頭、死の床でのラーエルの言葉)

「100年も前に死んでしまったけれども、ラーエルはわたしの本当の親友」――1930年代はじめに書き始められ、ナチス・ドイツを逃れてほぼ完成した第一草稿を携えてパリへ、さらにニューヨークへ亡命し、最終的に1957年に公刊された『ラーエル・ファルンハーゲン』は、アーレントにとっては「自伝としての伝記」であり、きわめて深い思いのある書であった。
「この本は、副題――「あるユダヤ人女性の生涯」――が示唆する内容とは異なり、むしろ、一人の人間の考えに考えぬいた思索の人生を伝える書であった。アーレントは、ラーエルの思考のプロセスをさかのぼり跡づけていく。ユダヤ人であるという自意識から逃れようとする孤独な推察が出発点となり、ついにユダヤ人としての自己を理解して受け入れ、「パーリア」というユダヤ人としての同胞意識に目覚めるまでの道程を旅するのである」(ヤング=ブルーエル『ハンナ・アーレント』)
ドイツ・ロマン派の時代を生きたラーエル・ファルンハーゲン(1771-1833)を知るために。アーレントをより理解するために。新版をここにおくる。

目次

はじめに
第一章 ユダヤ女性そしてシュレミール 1771-1795年
第二章 世の中へ 1795-1799年
第三章 終わったあと・どう生きる? 1799-1800年
第四章 異国への逃亡・美しい世界 1800-1801年
第五章 魔法・美・愚行 1802-804年
第六章 解答・大いなる僥倖 1805-1807年
第七章 同化 1807-1808年
第八章 昼と夜
第九章 路傍の乞食 1808-1809年
第十章 ある友情の破綻 1809-1811年
第十一章 市民的改善・出世の物語 1811-1814年
第十二章 賤民と成り上がり者のはざま 1815-1819年
第十三章 ユダヤ性から逃げられはしない 1820-1933年

第二部 ラーエルの手紙および日記より

訳者あとがき
新版への解説(矢野久美子)
写真説明
手紙および日記(第二部)の出典一覧
参考文献
ラーエル・ファルンハーゲン年譜
人名索引