みすず書房

「貧困が再生産されていることは、すなわち植民地主義がみずからを再生産していることです」——本巻は、著者自ら「車の両輪をなす」ことを企図して書き上げた二つの長篇『アジアはなぜ貧しいのか』と『アジアを知るために』およびその関連論考を収める。

さらに問題意識を掘り下げ、島嶼東南アジアにおける地方史の視座を生かして展開したのが『アジアはなぜ貧しいのか』である。ここでは地方の村や民族集団を主体として捉え、世界システムの中でいかなる変容を遂げていったのかが、鮮明に語られていく。これは、現在ただ今のわたしたちの問題である。