角運動量とスピン
『量子力学』補巻
故朝永振一郎博士(1965年度ノーベル物理学賞)の『量子力学』I・II(小社刊)は、数ある量子力学の教科書の中でもひときわ名著としての誉れが高く、その名声は英訳版を通して広く海外にも知られるところである。日本における量子力学の興隆とともに、研究者・学生の大半が本書を通じて量子力学を学んできたといって過言ではない。その特徴は、「物理的な核心をえぐり出す」(第I巻序文)ところにある。
全三巻の構想から出発した『量子力学』完結への強い要望は、第II巻刊行以来、多数の読者から寄せられ続けてきた。著者は最終巻の執筆に情熱を傾けながらも、公務と病とから未完のまま残されることとなった。本書は、第III巻に対する著者の構想の線に沿って、英訳版第II巻に追補された新しい一章「角運動量とスピン」のほか、「摂動論、観測の理論」、および第III巻への未完の遺稿「ベクトル空間」をまとめる。1948年の第I巻初版刊行以来、標準的教科書として長く親しまれてきた《トモナガの量子力学》の完結篇である。
著訳者略歴
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「角運動量とスピン」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/272頁
- 定価 4,536円(本体4,200円)
- ISBN 4-622-04081-6 C3042
- 1989年4月14日発行