みすず書房

エランベルジェ著作集 2

精神医療とその周辺

COLLECTED WORDS OF H. F. ELLENBERGER (MEDECINES DE L’AME)

判型 A5判
頁数 384頁
定価 6,600円 (本体:6,000円)
ISBN 978-4-622-04122-1
Cコード C3047
発行日 1999年8月25日
備考 現在品切
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エランベルジェ著作集 2

ピエール・ジャネやシャルコーなどフランス精神医療の草創期の人物への評価、およびヒトラーの『わが闘争』と並ぶおぞましい名誉を担う魔女狩りのマニュアル『魔女への鉄槌』への仮借ない批判から、本巻ははじまる。フロイトに比して、ジャネは不当に扱われているのではないか。集団精神病の起源と機制と経過とは、どのようなものだったのか。公式の精神医学史への異議申し立ては、同時に、現在の精神医学がもっとも必要としているものを伝えているだろう。「精神医学の知られざる歴史」「精神医学的分類の幻想」「創造の病いという概念」「病原性秘密とその治療」などは、その最たるものである。また、「動物園と精神病院」は、拘禁のもつ多面性を尽くしたエッセイとして、独自な位置をしめす。

付録として童話「いろいろずきん」も加えた全13篇。従来見過されてきた問題にメスを入れるその切り口を、堪能していただきたい。

目次

ジャネの心理療法
『魔女への鉄槌』を主題として
精神医学とその知られざる歴史
精神医学的分類の幻想
動物園と精神病院
「創造の病い」という概念
シャルコーとサルペトリエール学派
病原性秘密とその治療
歴史家の仕事
精神療法におけるカイロスの意味——理解と真の解釈の秋(とき)
分裂病の精神療法の特徴
災害精神医学

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いろいろずきん
 いろいろずきん考(中井久夫)
 エランベルジェの贈りもの(稲川美也子)