みすず書房

ちいさなカフカ 電子書籍あり

判型 四六変型
頁数 160頁
定価 2,200円 (本体:2,000円)
ISBN 978-4-622-04510-6
Cコード C0095
発行日 2000年1月7日
電子書籍配信開始日 2013年4月1日
備考 現在品切
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ちいさなカフカ

歴史の不条理や官僚制を告発する、きわめて深刻・まじめなカフカ——この定番のカフカ像を手放すと、どんな新しいカフカが立ち現れるか? そのみごとな見本がこの「ちいさなカフカ」である。これは数多あるこちたき作家論の類ではない。著者は、散歩のようにゆったりとカフカの周辺を巡りながら、しかし肝心のところは看過せず、その等身大の姿を紹介してゆく。道すがら、カフカの〈生のスタイル〉が透けて見えてくる仕組みである。

「ほんのちょっとしたこと、ちいさな手がかりからカフカに入ってみた。そのつど考えたり、気づいたり、連想したことを書きとめた。動いていると風景が変わり、目の位置が変化すると別の景色があらわれるように、いろいろなカフカが見えてきた」

女性たちに贈った夥しい手紙の数奇な運命、大の映画好きであったカフカと『審判』の関係をはじめ、賢治のクラムボンとオドラデク、『ライ麦畑でつかまえて』と『アメリカ』、さらに多羅尾伴内・長谷川四郎・クンデラに通底するカフカなど。われらの隣人カフカを知るための格好の道案内。

目次

手紙の行方
散歩道
動物物語
三人のヨーゼフ
少年
巡歴
日記
そっくりさん
万里の長城
ひとり息子

あとがき