見知らぬオトカム
辻まことの肖像

判型 | A5変型 |
---|---|
頁数 | 240頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-04697-4 |
Cコード | C0095 |
発行日 | 1997年4月8日 |
備考 | 現在品切 |

見知らぬオトカム
判型 | A5変型 |
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頁数 | 240頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-04697-4 |
Cコード | C0095 |
発行日 | 1997年4月8日 |
備考 | 現在品切 |
この人物、世に広く知られた人間ではなかったが、知る人ぞ知る、只者ではなかった。両親は辻潤と伊藤野枝。幼くしてフランスに渡るも、帰国してはこれといった定職につかず、自由に絵を描き、エッセイを書き、風刺的画文をものし、スキーと岩魚釣りの名人にしてギターをよく弾いたが、いずれも余技の趣き、一個の専門家ではなかった。
この自由人の生身の言動はさておき、彼は生前に四冊の本を世に出した——『虫類図譜』『山からの絵本』『山の声』『山で一泊』——ここからわれわれは何を読みとるか? かねてから鍾愛の「辻まことをめぐって一冊の本を書いた……のこされたペンの仕事、また画ペンの仕事により、こちらの声はなるたけおさえて、辻まことに語ってもらう。耳をすませて、一心にその声を聴きとるような手法をとった」(あとがき)。
まさに同行二人——山と川をめぐり、時代と都市の喧騒をかいくぐって、辻まことという稀有の旅人に寄りそい、その精神とペンの運動の軌跡をゆったりと的確に辿りつつ、この単独者の魅力を声低く十全に開示したポルトレの傑作。