公衆の誕生、文学の出現
ルソー的経験と現代

判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 280頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-07034-4 |
Cコード | C3090 |
発行日 | 2003年4月23日 |
備考 | 現在品切 |

公衆の誕生、文学の出現
判型 | A5判 |
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頁数 | 280頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-07034-4 |
Cコード | C3090 |
発行日 | 2003年4月23日 |
備考 | 現在品切 |
絶対王制の確立はヨーロッパの知的風景に大きな変化をもたらした。ラテン語という共通言語の時代は黄昏を迎え、フランス語による書物の広範な普及を背景に、議論する「公衆」が登場し、力を持ち始めていた。本書はまず、デカルト、モンテーニュ、ヴォルテールらによる例をあげながら、名詞publicの意味が変容していくさまを精緻にあとづける。
『百科全書』の企ては啓蒙された読者=公衆の存在なしにはありえまい。文芸人は何よりも「会話の人」と定義された。ところが、この公論の時代のただなかに「人が集まるなかでどうしてすすんで話ができるのか、わたしには理解できない」と告白する人物がいた。彼は社交的世界での成功が手に入ろうとする瞬間、そこから逃走してしまう。ジャン=ジャック・ルソーという徹底的に異質な才能は、広がりゆく公衆の言語空間に何を見ていたのか。『告白』と『対話』のテクストを通じて、公共的世界からのルソーの意図的脱出の意味がここに明らかにされる。
われわれの生活を覆い尽くす広告的言説の洪水のなかで、現代人が取りうる戦略とは何か。ルソーの〈声〉はその可能性をどのように示してくれるだろうか。『幸福への意志』につづく刺激的な論考。