みすず書房

ひとつの土地にふたつの民

ユダヤ-アラブ問題によせて

EIN LAND UND ZWEI VOLKER

判型 A5判
頁数 360頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-07177-8
Cコード C1010
発行日 2006年1月23日
備考 現在品切
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ひとつの土地にふたつの民

ヘルツルの提唱した「ユダヤ人国家」建設運動に端を発して、ユダヤ民族を救出するために企てられたパレスティナへの入植事業。この試みは、イギリスはじめ列強を巻き込んで、数々の国際紛争とそれを解決しようとする試みを重ねながら、混迷のうちにパレスティナを孤立へと向かわせた。

著者は、生まれ育ったヨーロッパからこの特殊な背景をもつ土地に居を移し、もともと住まうアラブ人を抑えてユダヤ人を多数派とすべく移住計画を進める動きに抗して、少数の反対派としての立場を貫いた。ユダヤ人とアラブ人の平和的共存、ふたつの民に共通の利益を差し出す二民族=国民国家の構想…それゆえにユダヤ人国家、ユダヤ人多数派を悲願とする大勢から激しい非難を受けつつ、ブーバーの闘いは死の瞬間までつづいた。

圧巻「マハトマ・ガンディーへの書簡」をはじめとする、1918年から1965年までに発表された論考66篇。「我と汝」を考えた哲学者が、ユダヤ人とアラブ人の共生を求めつづけて発したことばの数々は、何度も振り返って読まれることだろう。