みすず書房

へんな子じゃないもん

FROM MY GRANDMOTHER’S BEDSIDES

判型 四六判
頁数 272頁
定価 2,640円 (本体:2,400円)
ISBN 978-4-622-07198-3
Cコード C0036
発行日 2006年3月17日
備考 現在品切
オンラインで購入
へんな子じゃないもん

わたしはふと訊いてみたくなった。——おばあちゃま、へんな子をお医者さんのところに連れていくのは、いやじゃなかった?
しばらくのあいだ彼女はなにも言わず、聞こえなかったのかな、とわたしは思った。長い沈黙のあと、彼女は目をこちらに向けず、開けもせずに、こう言った。
——へんな子じゃないもん。自慢の子だもん。(本文より)

戦後の苦難の時代から、現在のストレスの時代へ。自分の生きてきた道すじを見極めようとする試みから、本書は生まれた。祖母と過ごすかけがえのない日常のなかで、子ども時代、家族、日本の戦後史をめぐる思索が断章となり、そして連なり、ひとつの作品として結実した。

「ノーマ・フィールドのフリーなかたちの回想記は、ピカソのキュビズムの興奮と、日本の演歌の甘い疼きを併せ持っている。彼女が祖母に贈る賛歌は、あの嵐を乗り越え、いま尊厳をもって死を迎えようとする、すべての年老いた者たちへの愛の詩だ」(S.ターケル)

書評情報

 
東京新聞「筆洗」 2006年4月14日(金)
松木新
(文芸評論家)
赤旗 2006年4月30日(日)
 
クーヨン 2006年6月号
鶴井千恵子
(本読みサークル ゆずりは)
社会評論 2006年夏号
須永陽子
前夜 2006年秋号
温又柔
(作家)
朝日新聞「つんどく本を開く」 2022年9月24日(土)