みすず書房

仁科芳雄往復書簡集 2

現代物理学の開拓 宇宙線・小サイクロトロン・中間子 1936-1939

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 496頁
定価 16,500円 (本体:15,000円)
ISBN 978-4-622-07262-1
Cコード C3342
発行日 2006年12月 6日
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仁科芳雄往復書簡集 2

第II巻は日本国内の物理学が理論・実験の両輪で成長・発展する時期にあたる。理論研究の分野には湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一ら精鋭が揃う。仁科らの理化学研究所においては宇宙線の研究で着実な成果をあげつつ、小サイクロトロンが建設される。その過程は本邦におけるビッグ・サイエンス事始という視点からも興味深い。理研以外にも、帝国大学を中心とする複数の物理学研究の拠点が活力を増し、切磋琢磨している様子がうかがえる。

湯川は本邦初のノーベル賞を受けた中間子論を確立した時期、良き助言者として彼を支えた仁科と頻繁に通信していた。そのため、欧米の物理学界を揺さぶった湯川理論を取り巻く国内外の情勢は、仁科の遺した書簡群からつぶさに読み取れる。

1937年には日本の科学者が待望していたボーア来日が実現する。仁科とボーアの通信は、二人の連絡が日本の物理学に寄与したものの大きさを示すとともに、どこまでも誠心誠意研究者仲間のため尽力するボーアの人となりを偲ばせ、読む者の胸を打つ。

このころまだ科学者の間では国境を越えた交流が続いていた。しかし特に本巻の後半は暗転する世界情勢を色濃く反映しはじめる。研究員の出征、国際学会の中止、留学生の引き上げ……書簡は科学者が肌で感じた戦争の気配と、それに直面した彼らの意識を伝える媒体ともなっている。全3巻