みすず書房

仁科芳雄往復書簡集 3

現代物理学の開拓 大サイクロトロン・ニ号研究・戦後の再出発 1940-1951

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 792頁
定価 19,800円 (本体:18,000円)
ISBN 978-4-622-07263-8
Cコード C3342
発行日 2007年2月28日
オンラインで購入
仁科芳雄往復書簡集 3

太平洋戦争と科学動員、原子爆弾被爆と敗戦、研究復興と占領軍の介入、そして日本科学界の国際復帰へ──未曾有の歴史を科学者たちはいかに生きたのか。その実相を映す貴重な書簡・文書を集成。理研の「ニ号」(原爆)研究については、当事者による報告書を関連資料とともに複眼的に眺めることができる。占領軍によるサイクロトロン破壊事件に関しては、仁科芳雄の記録とGHQの機密文書から、その全経緯をたどる。ほかに、戦後の学界の屋台骨を築いた敗戦直後の学術体制改革に関する文書など。占領軍統治が本邦科学界の復興と国際復帰にもたらした損害と便益、科学者の国境を越えた交流が果たした役割も読み取れる。
科学動員が叫ばれた戦時、本書に現れる主要な科学者たちの多くが、「国防国家」を担う科学者の重責と、自らの基礎研究への情熱との相克を経験した。陸軍の委託を受けて原爆開発研究に携わり、広島に原爆が投下されると「吾々「ニ」号研究の関係者は文字通り腹を切る時が来たと思ふ」と同僚に書き綴った仁科も、一方で連日空襲の続く戦争末期に、執念で大サイクロトロンを動かし続け、実験日誌を残している。
全3巻を締めくくる本書には書簡集全体の流れを整理した解説や年譜を付録。今後、日本の科学史を語るうえで本書簡集収録の資料を避けては通れないだろう。