みすず書房

信じない人のための〈宗教〉講義 電子書籍あり

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 256頁
定価 2,750円 (本体:2,500円)
ISBN 978-4-622-07292-8
Cコード C1014
発行日 2007年5月23日
電子書籍配信開始日 2016年8月19日
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信じない人のための〈宗教〉講義

〈宗教〉なんて過去の遺物? あやしいもの? 怖いもの? そんなあなたのために、ざっくばらんな世界〈宗教〉ツアーをご用意しました。ご安心ください。何か特定の〈宗教〉へお誘いするようなことはありません。私もまたいわゆる〈無宗教〉の一人ですから。
「〈宗教〉という言葉はやや漠然とした言葉です。この茫漠と広がる意味領域を大雑把にひっくるめて述べるとすると、〈宗教〉とはなんらかの制度として存在している、とでも言っておくしかなさそうです。そうした制度の別の側面は、人びとの意識のなかに現れるさまざまな世界イメージです。
人びとは日々の暮らしのなかで世界イメージを自己のものとする努力を行なっています。この努力の世界に読者をいざなおうというのが本書の目的です」(はじめに)
宗教家や宗教学者にはちょっと書けない、この脱〈信仰〉型の宗教案内で、私たち自身の偏見や怖れをも、このさい解きほぐしてみましょう。

目次

1 はじめに
2 宗教のネットワーク、無限の多様性
3 高校の地図帳に載っている「宗教」
4 ひとつの物語——ユダヤ教の伝承から
5 もう一回考える——共同体・戒律・神・神話・儀礼
6 二大宗教の拡大——キリスト教とイスラム教
7 キリスト教——信仰の系譜
8 近代を生み出した西洋
9 イスラム教というシステム
10 東ユーラシア/多神教
11 建て前としての仏教
12 変容のプロセス——仏教いろいろ
13 インド人の宗教——ヒンドゥー教
14 儒教と道教——転変の世界
15 どう語る? 日本宗教
16 さまざまな宗教
17 デジタルなアイデンティティー
18 あっちとこっち——宗教的次元(?)と日常的次元(?)
19 障害を乗り越える宗教?
20 時代のなかの宗教

あとがき
読書案内
索引

著者からひとこと

はじめまして、中村圭志と申します。これまでR・N・ベラー『心の習慣』、タラル・アサド『世俗の形成』など、宗教学の周辺の本を翻訳してまいりましたが、このたび、ざっくばらんな「宗教」概説書を書いてみました。本屋さんの宗教(学)コーナーにふつう置かれている概説書類とはちょっと様子の異なるシロモノです。
ふつうの概説書の場合、あなたの読書体験はこんなふうになります。「宗教学」の扉を開くと「宗教」が現れて、「宗教」の扉を開くと「いろんな宗教」が現れて、「いろんな宗教」の扉を開くと「信仰の世界」が現れて、「信仰の世界」の扉を開くと「なんだか分からないもの」が現れる……。まるで『注文の多い料理店』の無数の扉のようですが、こうした「扉の言説」とは極力遠ざかるようにして書いたのがこの『信じない人のための〈宗教〉講義』です。扉がないから出入りは自由です。出入り自由とは結局のところ「信じない」ということです。
キリスト教、イスラム教、仏教……など世界の伝統を新しい切り口で紹介するように工夫をこらしましたが、しかし、この本のポイントは、いわゆる「宗教」を、個人の信仰にいつも焦点を結ぶような特別なジャンルと捉えないという点にあります。人間は、衣食住、遊び、仕事、組織活動から政治まで、いろいろなことをやっており、いろいろなものを信じております。「宗教」という特別な生活様式があると考えなければならない必然性はありません。
「宗教」のなかに期待や恐怖などさまざまな思い入れを放り込んで語ろうとする私たちの性急な姿勢をもみほぐし、もっと広い視点から歴史や現代世界を見わたすための頭の体操にお誘いしたい。著者の意図はここにあります。請うご期待。 (2007年4月)

書評情報

鈴木繁
朝日新聞2009年10月4日(日)
島田裕巳(宗教学者)
週刊東洋経済2011年11月26日号