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ムンク伝

EDVARD MUNCH

Behind the Scream


「わたしの絵は告白である。絵を通じて、わたしは世界との関わりを明らかにしようと試みる」――ムンクはこう書き綴った。
《叫び》《死の床》《キス》をはじめ、ムンクは一つのイメージを、時をかけ繰り返し描きつづけた。内面のヴィジョンを映し出すそれらの絵と、人生体験を切り離すことはできない。ムンクにとって、作品とは芸術ではなく、人生だった。
最愛の母の死、強い絆で結ばれた姉の喪失、妹にとりついた精神の病、貧困、宗教の束縛……家族を襲い、人生を導く不気味な力に、ムンクは終生怯えていた。
19世紀末、時代も虚無と退廃の空気におおわれていた。北欧の都クリスティアニア(オスロ)でくりひろげられる、若きボヘミアンたちとのアブサンと自由恋愛の日々。無政府主義者の鬼才ハンス・イェーガーの人と思想はムンクを強く惹きつけ、北欧の奇才、イプセンやストリンドベリらとの交わりは、ムンクの孤独な魂を勇気づけた。
また、ムンクは大変な読書家だった。文学、哲学、音楽、科学、医学、そして当時新興の分野であった心理学の本は、その思想と絵に大きな役割を果たしている。同時に、書くことで自己分析を試みたムンクは、日記や手紙を多数残した。この本に声を与えているのは、それらムンクの言葉である。
幼い頃よりムンクの絵に親しんだ小説家、美術史家の著者が、厖大な量の第一次資料を読み込み、愛情あふれるこまやかな筆致のもとに書き上げた、ムンク伝の決定版。別丁図版150点収録。


目次


第1章 ひっこみじあん――1863年以前
第2章 永久に結ばれ――1864-1868年
第3章 クリスティアニアで過ごした少年期――1869-1875年
第4章 鮮血の幟――1876-1877年
第5章 信仰心の喪失――1878-1881年
第6章 「ぼくは画家になろうと思う」――1879-1881年
第7章 「ブラウン・ソースはもうたくさん」――1882-1885年
第8章 計算ずくの誘惑――1885年
第9章 朝飯前にちょいと1杯――1883-1886年
第10章 安直な芸術と魂の芸術――1886年
第11章 美徳はペテン――1886-1889年
第12章 サンクルー宣言――1889-1890年
第13章 変わり者――1890-92年
第14章 神は死んだ。ベルリン――1892年-1894年
第15章 死の表徴――1894年-1896年
第16章 魔法を使う刺客――1896年-1900年
第17章 生命のダンス――1897-1899年
第18章 死と乙女――1899-1901年
第19章 銃撃――1902年
第20章 地獄の自画像――1903-1908年
第21章 狂気の醜い相貌――1907-1909年
第22章 太陽、太陽――1909-1916年
第23章 魂の居場所――1914-1922年
第24章 頽廃芸術――1922-1940年
第25章 舵をとり迎える死――1940-1944年
年譜


著訳者略歴

スー・プリドー
Sue Prideaux

イギリスの小説家、美術史家。イギリスに生まれ、ムンクの後見人で、肖像画にも描かれた大叔母の国、ノルウェーで洗礼を受ける。幼少期よりふたつの国を行ったり来たりし、ノルウェー語に親しんだ。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
木下哲夫
きのした・てつお

1950年生まれ。京都大学経済学部卒。翻訳家。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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この本の関連書


「ムンク伝」の画像:

ムンク伝

「ムンク伝」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/456頁
定価 8,800円(本体8,000円)
ISBN 978-4-622-07294-2 C1071
2007年8月10日発行

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