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脳科学と倫理と法

神経倫理学入門

NEUROSCINCE AND THE LAW

Brain, Mind and the Scales of Justice


本書は、神経科学の発展が倫理および法の枠組みに及ぼしうる影響について複数分野の専門家を集めて議論した、米国科学振興協会(AAAS)主催の研究会をもとに編まれた。神経倫理学という新しい分野の最初期の議論を跡付ける報告書として、今後の研究に多くの糸口を提供するものである。
研究会の議論のベースとなった4報の論文(第II部)は、専門的観点から問題提起するとともに、異なる専門分野間の焦点や見解の違いを例示している。5章では神経科学者が、自由意思・法における人格・責任の概念を科学が揺るがしうるかについて論じる。6章の前半では同じ命題が、法哲学の専門家によって検討される。
6章後半では法制度運用の場で生じうる実際的問題が考察され、7章はそれを引き継いで、プライバシーや自由の侵害の可能性、訴訟における神経科学的証拠の採用の可能性についてより具体的な検討を加える。8章は神経科学の発展の方向と、生じうる社会的摩擦を推論的に考察している。
以上の4報と研究会の場で出された意見をふまえてまとめられた報告書を第I部として収録。議論の俎上に載った課題を概観するこの部分だけでも押さえておきたい。
この研究会が、世界の神経科学を牽引する立場にあるAAAS主催であることも念頭に置いて読むべきだろう。先駆的な試みにともなう限界は考慮したうえで、本書に提示された顧問団の認識や姿勢が、市民の目に頼もしいと映るか、否か。いずれにしろ今後ますます、より多角的で濃密な、学際的対話が必要であることは明らかだ。


目次


刊行に寄せて  マーク・S・フランケル
謝辞  ブレント・ガーランド

第I部 問題のありか  ブレント・ガーランド
はじめに
第一章 脳機能計測と画像化
第二章 脳機能の操作
第三章 法律的諸問題の検討
第四章 将来的方向性
まとめ

第II部 専門論文
第五章 二十一世紀における自由意思──神経科学と法律に関する一考察  マイケル・S・ガザニガ、メーガン・S・スティーヴン
自由意思についての哲学的見方
自由意思の存在をめぐる神経科学的議論
決定論的世界における自由意思の存在
自動的な脳と解釈的な精神
要約
謝辞

第六章 新しい神経科学、旧知の問題  スティーヴン・J・モース・D
法における人の概念
法における責任の概念
人間性と責任に対する神経科学からの疑義
決定論の挑戦
責任に関する判断基準
インフォームド・コンセント
既存の法理論の見直し
市民の自由に対する脅威──プライバシー、予測、治療
正常な認知機能に対する増進操作
神経科学的証拠の許容性
結論

第七章 予測、訴訟、プライバシー、知的財産──神経科学の発展が法律および社会に与える影響   ヘンリー・T・グリーリー
神経科学的予測の可能性と問題
訴訟における神経科学の使用
守秘義務とプライバシー
特許
結論

第八章 神経科学の将来と法  ローレンス・R・タンクレディ
脳死
認知と法的責任能力
認知機能をふつう以上に高める
神経科学を利用した嘘発見器
神経科学情報濫用の可能性

用語解説
訳者あとがき
索引


著訳者略歴

ブレント・ガーランド
Brent Garland

M.S., J.D. 米国科学振興協会(AAAS)の「科学における自由、責任、法律に関する行動計画」(科学、倫理、法律に関係する諸計画の推進および管理を担当する部門)で次席責任者。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
マイケル・S・ガザニガ
Michael S. Gazzaniga

Ph.D. カリフォルニア大学サンタバーバラ校心理学教授。SAGE Center for the Study of the Mindセンター長。ニューヨーク大学神経科学センター顧問。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
メーガン・S・スティーヴン
Megan S. Steven

Ph.D. ハーバード大学医学校Beth Israel Deaco-ness Medical Centerのポスドク。オックスフォード大学医学部大学院博士課程修了。2002年、心理学を専攻、神経科学を副専攻としてダートマス大学を卒業。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
スティーヴン・J・モース
Stephen J. Morse

J.D., Ph.D. ペンシルヴェニア大学Ferdinand Wakeman Hubbell法学教授、同大学心理学部の心理学法学教授兼任。刑法と精神衛生法とを専門とし、中でも刑法および民法における個人の責任について研究している。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
ヘンリー・T・グリーリー
Henry T. Greely

J.D. スタンフォード大学法学部のDeane F.and Kate Edelman Johnson講座教授、同大学の遺伝学特別教授兼任。保健法や保健政策、また生命科学の発展に起因する法的、社会的問題を専門とする。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
ローレンス・R・タンクレディ
Laurence R. Tancredi

M.D., J.D. ニューヨーク大学医学部臨床精神医学教授。またニューヨーク市の開業医でもある。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
マーク・S・フランケル
Mark S. Frankel

Ph.D. 米国科学振興協会(AAAS)の「科学における自由、責任、法律に関する行動計画」責任者。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
古谷和仁
ふるや・かずひと

翻訳家。東京大学工学部建築学科卒。東京大学大学院修士課程修了・博士課程単位取得退学。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
久村典子
ひさむら・のりこ

翻訳家。訳書に。、ピーター・バラム『料理のわざを科学する――キッチンは実験室』(共訳、丸善、2003)、アーサー・グリーンバーグ『痛快化学史』(共訳、朝倉書店、2006)ほか。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

"Neuroscience and the Law"参加者名簿

本書のもとになったワークショップ "Neuroscience and the Law" は2003年9月12-13日の2日間、米国科学振興協会 (AAAS) およびデイナ財団の主催でとりおこなわれた。その短縮版報告書(英文)は下記URLに掲示されている。 ...続きを読む »

この本の関連書


「脳科学と倫理と法」の画像:

脳科学と倫理と法

「脳科学と倫理と法」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/256頁
定価 3,740円(本体3,400円)
ISBN 978-4-622-07315-4 C1045
2007年7月19日発行

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