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ガヴァネス

ヴィクトリア時代の〈余った女〉たち

著者
川本静子

女性の使命は結婚して家庭に入り「良妻賢母」として有閑生活を送ることだと考えられていた、19世紀英国の中産階級社会。しかし、1840年代頃から成人男性の海外移住や晩婚化が進み、大量の未婚女性が出現する。彼女たちは〈余った女〉などと揶揄され、自活の道を強いられた。女性が職業を持つのははしたないとされたこの時代、レディの体面を保ったまま就くことのできた唯一の職業が「ガヴァネス」、住み込みの家庭教師だった。
時には子守やお針子代わりにこきつかわれ、薄給と孤独に苦しみながらも「レディ」の誇りにこだわりつづけたガヴァネスたち。本書では、第一部で当時の新聞雑誌やガヴァネスの書簡など多数の一次資料を用いて、現実に生きたガヴァネスの姿に迫り、第二部では、C・ブロンテ『ジェイン・エア』、W・M・サッカレー『虚栄の市』から、当時大ベストセラーとなったセンセーション・ノヴェルに至るまで、いわゆる「ガヴァネス文学」を取り上げ、英文学においてガヴァネスが果たした役割を探る。ヴィクトリア時代の中産階級家庭に必須かつ特異な〈道具立て(パラフネイリア)〉のひとつとして機能した「ガヴァネス」の実像を、歴史と文学の両面から、第一人者が浮き彫りにした。
「ヴィクトリア時代のガヴァネスたちの現実と夢は、遠い時代の遠い国の物語に見えるかもしれない。だが実は、今日の女性たちのほんの昨日の物語なのである」


目次


はじめに
第一部 現実のガヴァネスたち
第一章 ガヴァネス普及の背景
前史 ヴィクトリア時代における定義
独身女性とガヴァネスが増えたわけ
第二章 ガヴァネスの口を求む
地理的および階層的分布 求人・求職の広告欄から
容姿端麗な人お断り 低い報酬と針仕事
第三章 何をどう教えたのか
ガヴァネスのための手引書
『ガヴァネス―女子教育のレパートリー』
第四章 気の毒な先生
あいまいだった社会的地位 家庭内での孤立
第五章 ガヴァネス問題への対策
(一) ガヴァネス互恵協会の設立(一八四三)
(二) クリーンズ・コレッジの設立(一八四八)
(三) 他の職業分野への進出奨励
(四) ガヴァネスの海外移住
第六章 王室付きガヴァネスの一例――アンナ・リーノウェンズの場合
イギリス帝国主義とガヴァネスシャム王室付きガヴァネス、アンナの経歴
シャム王との軋轢

第二部 小説の中のガヴァネスたち
第一章 レディ・ピカロ――クララ・モーダント
レディ・ブレッシントン『ガヴァネス』(一八三九)
ヒロインはガヴァネス ピカレスク小説の系譜
「先生はレディなの?」
第二章 危険な女――ベッキー・シャープ
W・M・サッカレー『虚栄の市』(一八四七―四八)
ベッキーとジェイン 玉の輿をねらえ
ベッキーの涙 生きのびるための戦略
第三章 反逆する女――ジェイン・エア
シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』(一八四七)
既成の秩序と規範を脅かす女 激しい情念の世界
運命的な出会い 対等な愛を求めて
第四章 道徳的優位者――アグネス・グレイ
アン・ブロンテ『アグネス・グレイ』(一八四七)
手に負えない子どもたち 愛と尊敬を絆として
第五章 身をあやまった女――レディ・イザベル
ミセス・ヘンリー・ウッド『イースト・リン』(一八六一)
センセーション・ノヴェルのヒロイン 家庭から逃亡する人妻
欲望の充足と戒めと
第六章 外面は天使、内面は悪魔――ルーシー・グレアム
メアリー・エリザベス・ブラッドン『オードリー卿夫人の秘密』(一八六二)
貸本店のベストセラー 「愛している人なんていません」
恐るべき秘密の露見 金髪の悪魔――女の破壊力
「狂気」というレッテル
第七章 真実の女――ルーシー・モリス
アントニー・トロロウプ『ユーステス家のダイアモンド』(一八七三)
虚偽と真実のアレゴリー 恋愛の自由はない
つつましい愛の勝利者
第八章 幽霊を見たガヴァネス
ヘンリー・ジェイムズ『ねじのひねり』(一八九八)
心の深層を描く 抑圧された恋愛感情
亡霊のいる邸宅 幽霊を生み出したのは
抑圧された「結婚を待つ女」たち

あとがき
参考文献


著訳者略歴

川本静子
かわもと・しずこ

1956年津田塾大学英文科卒業、1957年東京大学大学院修士課程修了。1962-63年ハーヴァード大学大学院留学。津田塾大学名誉教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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「ガヴァネス」の画像:

ガヴァネス

「ガヴァネス」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/224頁
定価 3,780円(本体3,500円)
ISBN 978-4-622-07335-2 C1098
2007年11月19日発行

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