みすず書房

ニールス・ボーアの時代 1

物理学・哲学・国家

NIELS BOHR’S TIMES

判型 A5判
頁数 352頁
定価 7,260円 (本体:6,600円)
ISBN 978-4-622-07337-6
Cコード C1042
発行日 2007年11月21日
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ニールス・ボーアの時代 1

ニールス・ボーア(1885‐1962)の生きた時代は、物理学が革命的な変化を遂げ、社会に衝撃を与える結果をもたらした時期と重なっている。
20世紀の初頭には、まだ原子の実在性について決着がついていなかった。原子の構造もまだ想像の産物でしかなかった。原子核はいまだ発見されておらず、原子エネルギーの実用化は(善用であれ悪用であれ)はるか彼方の地平線にその姿さえ見せていなかった。だが、これらはすべてボーアの存命中に変わってしまったのである。しかもその変化のほとんどは、彼自身の影響によるものであった。
本書は、原子がどのようにできているかを理解した最初の人物、量子現象を理解するのに不可欠な物理学の哲学的基礎に修正を迫った中心人物、戦後世界の科学者の社会的責任を指導した人物についての決定的伝記である。優れた素粒子論研究者であり、ボーアの共同研究者でもあったパイスの筆により、20世紀の科学界と国際政治に大きな足跡を残した巨人の全体像がここにあざやかに浮かび上がる。第1巻は1920年代までを収録。全2巻。
「われわれの世紀の物理学および物理学者に与えたボーアの影響は他の誰よりも、アインシュタインのそれよりも、大きなものであった」(ハイゼンベルク)

目次

1 不屈のデンマーク人
2 「デンマークに私は生まれた……」
3 少年時代
4 20世紀へ向かって——古代の光学から相対論へ
5 自然は飛躍する——量子物理学のルーツ
6 学生時代
7 ボーア、学位取得後(ポスドク)の研究で英国へ行く
8 原子の父、ボーア
9 いかにしてボーアは確固たる足場を確保したか
10 「それは希望の春であり、絶望の冬であった」
11 ボーアとアインシュタイン
12 重大な使命を帯びた現代のヴァイキング

書評情報

亀淵迪(筑波大名誉教授)
日本物理学会誌2013年Vol. 68, No. 2