みすず書房

「詩はひかりのように、ひびきのように一瞬のうちに感受するもの」。

第一詩集刊行から半世紀を越え、戦後日本を代表する女性詩人の、自作詩にまつわるエッセイ55編。少年少女詩から、恋愛詩、叙景詩、そして雄渾な大地への讃歌まで、ヴァラエティに富みスケールの大きな新川詩は、どこから生まれてきたのか。
作品世界に内在する言葉や心の動きが、たしかな手ざわりで甦る。詩が生まれるきっかけやモチーフ、創作に向かう態度、そして自伝的回想をも交えながら打ち明ける「詩作の秘密」。詩だけからでは窺い知れない茶目っ気やユーモアも愉しい、興味つきないエッセイ集。

目次

それは来るだろうか ミンダの店
すでに色濃く、地球の影が… 日常の神
見知らぬ男のうしろ姿 夢のなかで
巨体の悲しみ 象
私の中の少年少女 ちこく
いい土になろうと 『土へのオード13』抄
ふだん着の私 螢ランプ
旅は終らない Cinzano
老女と少年の恋 秋の後朝
精神のランニング 詩作
〈葉の緑〉とそこへの〈道のり〉 わたしは傷を…
〈個〉の死、〈量〉の死 ロータスの園の中…
お互い、〈なま身〉持つ身 春告魚
この世か、あの世か お返し
火の願望 『火へのオード18』抄
泥んこの青春 若者たち
他者を生きる 教えてください どこにいればいいのか
恋愛詩? 真夏の木
三角畑の蕎麦あたれ 秋の詩二篇
こんなにもころころ 大地はまだ…
拝啓 文化庁長官 お雁書なつかしく……
また一年がゆく そこの誰かさん
太陽も顔を洗って 元旦
張りつめた心で 冬の金魚
とどかぬ思い せりせりとおまへの茎を……
花、ということ ことしの花の…
恋の名 愛人ジユリエツト
土による救済 『土へのオード13』抄
午睡の夢 いちまいの海
くちびる寒し 長十郎の村
怯える ヘア・ピン
女ありて 感傷の秋
さびしさを咲かせる サフラン
盗む 日録
田舎のオフェーリア 水がわたしを呼んだとき…(他)
イノセント 千度呼べば(他)
3×3=9 チョークとこくばん
名を呼ぶという儀式 呼ぶ
散らばる活字 さういふ星が……
はだかの馬 馬
遠い記憶 草シネマ
心に留めた助言 髪のリボンよりも…
〈新鮮なおどろき〉を 砂
あの家の夜風 ひとに手紙を…
夢の中の十四行詩 ああ どこへ
FAX用紙の裏に
今、自分がおもしろい
組曲「良寛」のこと
一篇の詩をめぐって
半秒おくれて言語はやってくる
〈野の花〉と〈永遠〉
それぞれの領分
句読点
おじいさんの木
ちょん、ちょん、と

あとがき

書評情報

稲垣真澄(評論家)
産経新聞2009年5月24日(日)
蜂飼耳(詩人)
東京新聞2009年6月6日
フィガロジャポン
2009年8月5日号

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