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アドルノ 文学ノート 1

NOTEN ZUR LITERATUR


〈エッセーは、暗黙のうちに、非同一性の意識を斟酌している。それはラジカリズムを標榜しないことにおいてラジカルであり、原理への還元を極力慎しみ、全体に対して部分を強調する点において、断片的なものにおいて、ラジカルである。…一分の隙もない概念の秩序であっても存在者とひとしいわけではないのだから、エッセーは、演繹的にせよ、帰納的にせよ、完結した構成を目指したりしない。…いってみればエッセーにとっては方法に反することが方法である〉
本書の巻頭におかれた「形式としてのエッセー」で、アドルノは、ルカーチ『魂と形式』に照応するかたちで、全体性が失われた現代世界にあって、時代にふさわしく、かつ時代の問題性に肉薄する言語表現のあり方、批評のスタイルを描いた。教授資格論文『キルケゴール』からホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』『ミニマ・モラリア』『アルバン・ベルク』『美の理論』『ベートーヴェン』『否定弁証法』にいたるまで、アドルノの著作はすべて、この精神に貫かれている。
ここに初めて全訳で刊行される『文学ノート』は、まさに「エッセー」の宝庫であり、その一篇一篇はどれも、20世紀批評を代表する名品ぞろいである。この第1巻には「抒情詩と社会」「アイヒェンドルフの思い出のために」「ハイネという傷」「句読点」「バルザックを読んで」「ヴァレリーの偏倚」「プルースト小解」「ブロッホの『痕跡』」、ルカーチ論「無理強いされた和解」、ベケット論「『勝負の終わり』を理解する試み」など17篇を収める。全2巻。


目次


I
形式としてのエッセー
叙事文学の素朴さ
現代小説における語り手の位置
抒情詩と社会
アイヒェンドルフの思い出のために
ハイネという傷
シュルレアリスムをふりかえる
句読点
代行者としての芸術家
II
『ファウスト』の最終場面によせて
バルザックを読んで
ヴァレリーの偏倚
プルースト小解
異国の言葉
ブロッホの『痕跡』――一九五九年の新増補版に寄せて
無理強いされた和解――ジェルジ・ルカーチ『誤解されたリアリズムに抗して』
『勝負の終わり』を理解する試み
解題


著訳者略歴

テオドール・W・アドルノ
Theodor W. Adorno

1903年ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。同市の大学およびウィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代、イギリスを経てアメリカに亡命、1949年帰国。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
三光長治
さんこう・ながはる

1928年広島生まれ。京都大学文学部独文科卒業。愛知大学講師、神戸大学助教授、埼玉大学教授、神戸松蔭女子学院大学教授を歴任。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
恒川隆男
つねかわ・たかお

1940年東京生まれ。東京大学教養学部、津田塾大学学芸学部国際関係学科を経て、現在 明治大学文学部教授。著書『二つの世界のオイディープス』(白水社)『文学に現れた現代ドイツ』(共著、三修社)。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
前田良三
まえだ・りょうぞう

1955年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在 立教大学文学部教授。著書『ツェラーン研究の現在』(共著、中央大学出版局)『纏う。表層の戯れの彼方に』(共編著、水声社)ほか。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
池田信雄
いけだ・のぶお

1947年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
杉橋陽一
すぎはし・よういち

1945年東京生まれ。東京大学独文科卒業、2009年まで同大教養学部教授。著書『一角獣の変容』(朝日出版社)『剥落する青空――細見綾子論』(白凰社)『快速リーディング・ニーチェ』(筑摩書房)ほか。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

細見和之(大阪府立大学教員・ドイツ思想専攻)
<週刊読書人「上半期の収穫から」 2009年7月31日(金)>
四方田犬彦<新潮 2009年12月号>
細見和之(ドイツ思想)
<図書新聞 2009年12月12日(土)>
高橋順一(早稲田大学教授・思想史専攻)
<週刊読書人 2010年4月23日(金)>
鷲田清一<朝日新聞「折々のことば」 2016年1月5日>

関連リンク

この本の関連書


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アドルノ 文学ノート 1

「アドルノ 文学ノート 1」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/440頁
定価 7,260円(本体6,600円)
ISBN 978-4-622-07470-0 C1010
2009年7月9日発行

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