みすず書房

「その瞬間、自分がスッと風景にとけ込めた気がした。自我が消えて、この大きな山塊を構成するひとつの要素になれたような、そんな気がしたのだ。それは透きとおっていながら存在感のある純粋な感覚だった」。

あの“サバイバル登山家”が狩猟をはじめた! 大型獣を狩りながら森を歩き山に登る、より深い野生のサバイバルをめざして。鹿の巻き狩り、単独猟、解体と、狩猟のノウハウを身体に叩きこむために冬の大菩薩山塊へ通う日々。そしてついに、テントもコンロも持たず、猟銃一挺を背にひとり厳冬期の南アルプスへ。
「サバイバル登山を通して感じる存在感とは、自分が間違いなく地球の生き物の一種類だと実感する喜びのようなものだ」。
自分が食べるものは自分で殺す。ケモノとおなじこの地球の生命体として、自然の掟を前によりフェアに生きるために。著者独自のサバイバル思想と行動につらぬかれた、前代未聞の山岳ノンフィクション。

目次

プロローグ

第一章 巻き狩り

第二章 サバイバル登山——和賀山塊縦断ソロサバイバル

第三章 単独待ち伏せ猟
解禁前夜/解禁日/鹿の寝屋で/解体

第四章 猟銃
所持許可/狩猟と肉/装弾/危険と恐怖

第五章 狩猟サバイバル山行記
冬期サバイバル登山へ/四頭目の鹿/小人閑居して/アシとハンコ/北上/山村のそばで/善と悪の先/アスファルト/雪のなかへ/自由と限界の頂

第六章 解体
ケモノと肉/ケモノレシピ

第七章 単独忍び猟

第八章 狩猟サバイバル山行記 2
入山/2500メートルの夜/稜線をゆく/冬の大井川源流/間ノ岳へ/休養日/極地探検の英雄

エピローグ
すこし長いあとがき、もしくは七頭目

書評情報

田中 純(思想史家)
読売新聞2009年12月13日(日)
田中 純(思想史家)
読売新聞2009年12月27日(日)
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