みすず書房

イタリア的カテゴリー

詩学序説

CATEGORIE ITALIANE

判型 四六判
頁数 368頁
定価 4,400円 (本体:4,000円)
ISBN 978-4-622-07510-3
Cコード C0010
発行日 2010年4月14日
備考 現在品切
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イタリア的カテゴリー

西洋文化において、あるいはわれわれの文化において、イタリア文化/文学はいかなる構造的特性を認めうるか。哲学者の文献学的方法論=批判的神話学実践への強い意志のもとに取り出されるのは、言語学、神学、哲学などの人文科学がもたらし、作品が自己言及的に開示しているさまざまな対カテゴリー——悲劇/喜劇、生きた言語/死んだ言語、ラテン語/俗語、国語/方言、スタイル(様式)/マニエラ(技巧)、讃歌/哀歌…である。これらが、中世のトルバドゥールからダンテを経て現代にいたる、イタリア文学の系譜的作品のそれぞれに見いだされてゆくとき、そこに顕われるのは、二項対立的カテゴリーの緊張を内在させる「言語活動の経験」としての作品である。
言葉への「愛」と言葉についての「知」を闘わせ、やがて絡まり合うにまかせるようなエロティックな思考の運動において、言語活動、音と意味、愛と言葉、詩と生、詩法をめぐる固有の思想がくりひろげられ、哲学となってゆく。
言語への愛と詩人たちの思い出にささげられた体験としての詩学が、ここに開かれているのだ。

目次

増補版へのはしがき
序文

第1章 喜劇
第2章 コルン——解剖学から詩学へ
第3章 言語の夢
第4章 パスコリと声の思考
第5章 詩の口述
第6章 脱‐我有化されたマニエラ
第7章 アンドレア・ザンゾットの「到来する(エルコメノス)」ロゴス
第8章 紋章学と政治学
第9章 オルフェウスに寄せる詩のトルソ
第10章 パロディ
第11章 隠された財宝の祝祭
第12章 詩の結句

[補遺]
バスクの少女の謎
言葉狩り
中間休止における間投詞
都市と詩
義人たちは光によって養われない
助修士/共‐詩行のロンダ
悲劇の/との別れ

原註
訳註
初出
詩と哲学のあいだで——訳者あとがきに代えて
人名索引

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