武田泰淳と竹内好
近代日本にとっての中国
判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 336頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-07515-8 |
Cコード | C1095 |
発行日 | 2010年2月24日 |
判型 | 四六判 |
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頁数 | 336頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-07515-8 |
Cコード | C1095 |
発行日 | 2010年2月24日 |
「戦後文学の圧倒的影響下に精神形成をとげたわたしにとって、このふたりは早くから親しんできた文学者である。しかしあらためて近代日本にとっての中国という問題意識をもっておびただしい資料を読みすすんでいくうち、1930年代から70年代末までの半世紀くらいのあいだ、中国と日本の問題を一貫して考えつづけてきたのは、結局このふたり以外にはなかったということを、わたしは痛感させられたのであった」
戦中に『司馬遷』を刊行した武田泰淳。同じく戦中に『魯迅』を刊行した竹内好。1935年、中国文学研究会創立メンバーとして『中国文学月報』を創刊した彼らは、「近代中国を理解する先駆け」であるとともに、中国戦線に送られた「侵略者たる兵士」でもあり、また敗戦を迎えたのはともに大陸においてであった。
晩年の大作『富士』にいたるまで敗戦という滅亡経験と「死者のまなざし」を小説世界のなかで深く掘り下げつづけた作家。そして日本の近代主義から脱落した民族的、国民的またアジア的な実質をラディカルに問いなおし、市民運動に身を投じた思想家。ふたりの生涯にわたる作品群、思想的営為を交差的にたどりつつ、日本人にとっての「他者」中国を浮き彫りにする昭和精神史。
I 戦時下の十年
1 中国と日本
2 『中国文学月報』
3 日中戦争
4 中国文学研究会と支那学派
5 大東亜戦争
6 『司馬遷』
7 『魯迅』
8 戦争末期の上海
II 「戦後」
1 上海における敗戦
2 「中国の近代と日本の近代」
3 国民文学論争
4 『風媒花』
5 『歴史』と『時間』
III 一九六〇年前後
1 バンドン会議
2 『森と湖のまつり』
3 「近代の超克」
4 安保闘争
5 アジア主義
IV 「文革」の時代
1 文化大革命
2 『秋風秋雨人を愁殺す』
3 「わが子キリスト」
4 雑誌『中国』
5 『富士』
エピローグ
あとがき
索引