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ルジャンドルとの対話


わたしが使っていたラテン語の文法書にこんな例文があった。「傲れる者は己を誇る(Superbus se laudat)。」わたしはこの忠告にしたがい、自著の裏表紙にみずからを三人称で賞賛する紹介文を記すのを自分に禁じた。この時代の嘆かわしい習慣だと思う。少しとりとめのないラジオ対話をまとめた本書は、そんなわたしにとって二重の意味で大それたものである。
読者よ、ここで語っているのはひとりの老いぼれ(baderne)だ。「老いぼれ」を辞書で引くと「老いて偏狭なひと」とある。わたしは老いている。そしてまた偏狭だ。自分の限界を知っているからである。「老いぼれ」は死語だが、ある元老院議員がそれを甦らせたのを知って気に入った。間然するところなく進歩的なその議員は、ソルジェニーツィンを「老いぼれ」と呼び、憎悪に満ちた言葉でかれの死に快哉を叫んでいた。そこで、わたしは以下のように結論する。老いぼれとは、欲しがるひとではなく、代償を払うひとのことである、と。そしてわたしは、デマゴーグたちの自足と怨恨のために晒し台に括られたひとびとのすべてに連帯の挨拶を送る。政治秩序が再び準備を整えさえしたなら、書くこと、語ることを禁じられるだろう、そうしたひとびとのすべてに。
この対話は、わたしが親しんだ知について、また研究上の、そしてその他の交流について語るものである。とはいえこれは、現在進行形の世界に関するいくつかの問いをめぐる対話でもある。とくに、今日の西洋の語彙にあって、宗教、国家、マネージメント、主体といった単語のうちに封じ込められた大切な人間的事象が話題になっている。相手役のフィリップ・プティは、話の展開を優雅に見守り、わたしが考えもなく妄言を口にしたりせぬよう注意を払ってくれた。最後に、対話の終止符としてギィ・ベアールの歌を置いた。(ピエール・ルジャンドル)


目次


第一週
 1 青春時代
 2 ドグマ人類学の問い
 3 西洋的人間の組成
 4 国家のありさま
 5 マネージメントの帝国
第二週
 6 戦後における考証学の熱気
 7 積層的な歴史
 8 人類学
 9 行政という事実
 10 文学と映画をめぐって
 訳者あとがき


著訳者略歴

ピエール・ルジャンドル
Pierre Legendre

1930年、ノルマンディー生まれ。法制史家・精神分析家。1957年パリ大学法学部で博士号を取得。民間企業、ついで国連の派遣職員としてアフリカ諸国で活動したのち、リール大学、パリ第10大学を経て、パリ第1大学教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
森元庸介
もりもと・ようすけ

1976年、大阪府生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員。思想史/フランス地域文化研究。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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「ルジャンドルとの対話」の画像:

ルジャンドルとの対話

「ルジャンドルとの対話」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/192頁
定価 3,456円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07525-7 C1010
2010年3月19日発行

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